【イスラマバード春日孝之】パキスタン政府が、亡命先のイランからアフガニスタンに帰国したヘクマティアル元首相と、アフガンでの政治的な復権に向け、全面支援していくとの密約を交わしていたことが13日、分かった。パキスタン軍情報機関(ISI)筋が毎日新聞に明かした。パキスタン政府は、アフガンへの影響力確保に向け、旧タリバン政権に代わる新たな「受け皿」として元首相を選んだことを意味する。
しかし、パキスタン政府が元首相を公然と支援すれば「アフガンへの内政干渉」との批判を免れない。そのため、同政府は、米国が昨年10月にアフガン攻撃を始めるまで支援してきた旧タリバン政権と同様、その事実を一切、認めない方針だ。
昨年9月の米同時多発テロ以降、ヘクマティアル元首相は亡命先のイランでタリバン支持を表明、昨年12月に発足したアフガン暫定行政機構を「米国のかいらい」と激しく批判してきた。これに対し、ブッシュ米大統領のイランへの「悪の枢軸」発言を機に、イランは先月、米国の批判をかわすため元首相を事実上、追放していた。
元首相はその後、消息を絶っていたが、ISI筋によると、パキスタンを経由して帰国した。その際、ISIと接触、密約を交わしたという。
元首相はイスラム原理主義勢力「イスラム党」を率い、アフガン戦争(79〜89年)中、旧ソ連に抵抗した最大のゲリラ勢力だった。今も一定の兵力を維持しており、元首相の動向は今後のアフガン情勢を左右するとみられている。(毎日新聞)
[3月14日3時20分更新]