「もう1機来たぞ、全員ロビーに残れ」―。米CBSテレビは10日夜、米中枢同時テロから半年を迎える特別番組「9/11」で、崩壊直前の世界貿易センタービル内部の映像を初公開、後に死亡した消防士らが懸命に救出活動に当たる生々しい映像が全米に流された。
番組はニューヨーク出身の米俳優ロバート・デニーロさんが司会を担当。消防隊員のドキュメンタリー制作のため偶然近くにいたフランス人兄弟の映像作家が隊員に同行して北棟内部に入り、撮影した45分間の映像が中心。
映像は1機目が同ビル北棟に突入した場面からスタート。カメラとともに現場に駆け付けると、続々と集まった消防隊員らが既にガラスが割れている北棟ロビーで緊張して指令を待つ。爆音と同時に南棟に2機目が突入し、救助活動に入った消防士を慌てて引き戻す無線の緊迫した声も。
爆発音が何度も聞かれ、粉じんが舞う。逃げ惑う人を前に「全員を外に出せ。出口はどっちだ」というどなり声。南棟崩壊時には人々の叫び声が響き、その後は視界がほとんどふさがれてしまった。
映像には犠牲になった消防士約90人が映っており、これまで公開が控えられてきた。今回の公開にも一部遺族から、「時期尚早」と延期を求める声が出ていた。(ニューヨーク共同)(毎日新聞)
[3月11日14時22分更新]