一発照射で炭そ菌ぼく滅
三菱重工業が世界初の装置開発(中日新聞 2002,3,10)
http://www.chunichi.co.jp/00/kei/20020310/mng_____kei_____001.shtml
三菱重工業は、バイオテロに対抗して郵便物の炭疽(たんそ)菌を自動殺菌する装置を世界で初めて開発した。近く米国で公開運転し、国内外への普及を目指す。同社は、原子力機器関連技術を応用してテロを抑止する「セキュリティー製品」の開発に取り組んでおり、空港などで放射性物質の侵入を阻止する検査装置も近く完成させる。
炭疽菌を自動殺菌する装置は、ウラン濃縮の際に、被ばく予防に用いる技術を応用した。主に病院や食品工場向けに商品化を目指していたが、米中枢同時テロ以降、米国で炭疽菌事件が相次ぎ、菌を死滅させる専用装置の開発に切り替えた。一台約二億円。
仕組みは、分子の結合を分解する電子線を、上下から郵便物に照射し、混入菌を死滅させる。郵便物をコンベヤーで送り、厚さ一ミリ以内の封書の場合、一時間で約二万通を殺菌処理できる。
一方、空港の手荷物検査で放射性物質をチェックする装置は、微量放射線を検出する技術を生かす。検出パネルを上下に設け、対象物を挟み、放射線のβ(ベータ)線とγ(ガンマ)線を同時に測定する。
今秋にも販売を始め、空港や原子力関連施設、病院、研究機関への納入を目指す。価格は五千万円程度を予定。