【エルサレム10日=当間敏雄】エルサレム中心部にあるイスラエル首相公邸近くのカフェで9日深夜(日本時間10日未明)、自爆テロがあり、イスラエル人11人が死亡、60人以上が負傷した。犯人は即死した。
中部ネタニヤでも同夜、パレスチナ人と見られる男2人が銃を乱射、旅行者の9か月の女児とイスラエル人男性の2人が死亡、50人以上が負傷した。男2人は警官に射殺された。両事件での死者は16人に上った。イスラエル軍は10日早朝、報復として、パレスチナ自治を統括するガザ市の自治政府議長府に武装ヘリコプターからミサイル30発以上を撃ち込んで建物を破壊した。パレスチナ情勢は一層、危機的な状況に陥った。
エルサレムの自爆テロについては、イスラム原理主義組織ハマスが「イスラエル軍の虐殺行為への報復」との声明を出し、ネタニヤの乱射テロでは、パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハ系の組織「アルアクサ殉教者旅団」が犯行を認めた。
イスラエルのシャロン首相は10日午前、安全保障閣議を緊急招集し対応を協議した。さらに激しい軍事作戦などが検討された模様だ。米国のジニ特使が12日にも現地入りして停戦調停を再開するが、双方の報復合戦は激しさを増す一方で、事態収拾に結びつくかどうかは微妙な情勢だ。
エルサレムの自爆テロ現場は、首相公邸からわずか100メートル。男は店の入口付近で身に付けた爆弾を起爆させ、店内を血みどろの修羅場に変えた。爆発音はエルサレム市中心部の広い範囲で聞こえた。現場は、ユダヤ教の安息日が日没で終了した後の人出でにぎわっていた。エルサレム中心部では、先週の安息日明けにもユダヤ教超正統派地域で、犯人を含め11人が死亡する自爆テロがあったばかり。
(3月10日19:55)