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03/09 15:56 ハザラ人兵士が次々暴行 迫害されるパシュトゥン人 外信51
共同
「パシュトゥン人の女に生まれてきたというのに、わが娘たちは
ハザラ人どもに陵辱されおった。もはや嫁のもらい手なぞない。こ
の子たちの人生はおしまいだよ」。アフガニスタン北部マザリシャ
リフ郊外のバルフ地区にあるパシュトゥン人居住地アカベグダム村
。ほそぼそと農業を営むジャマルディンさん（６０）の土壁の家に
、ハザラ人部隊の兵士五人が押し入ったのは一月下旬の夜だった。
目を血走らせた若い兵士たちはジャマルディンさんをカラシニコ
フ自動小銃で殴りつけると、娘たちが寝ていた隣室へ走った。十四
歳、十二歳、十歳の少女三人に、五人が代わる代わる襲いかかる。
悪夢の一夜。「それだけじゃないのよ」。十四歳の娘があきらめた
ような薄ら笑いを浮かべながら言った。「妊娠してしまったの」
タリバン政権崩壊後、アフガン北部では、タリバンを構成してい
た主要民族であるパシュトゥン人への、他民族による迫害が後を絶
たない。タリバン時代に血で血を洗う戦闘を続けたハザラ人やウズ
ベク人など他民族のおん念が一気に噴き出た形で、本格的な民族浄
化を恐れるパシュトゥン人は外出もままならず、ひっそりと息を潜
めるように暮らしている。
アカベグダム村に隣接するサイダアバード村では、カユムさん（
８０）とハラクダッドさん（３５）の親子が昨年十二月、ハザラ人
部隊に襲われた。手投げ弾の爆発で父は腰に、息子は足に裂傷を負
った。
「武器の捜索だと言って家に入ってきて、金を要求された。五千
万アフガニ（約十八万円）とじゅうたんを差し出したが、二晩居座
り、食料を食べ尽くした末に、大暴れだ」とカユムさんが憤る。
同村には、隣接するジョージャン州の州都シェベルガーンから、
パシュトゥン人の十一家族が親類や友人を頼って逃れてきた。その
一人モハマド・ガウスさん（３０）は「少なくとも五十―百人がウ
ズベク人に殺された。逃げられたわれわれは本当に運が良かった。
このまま放っておけば、そのうち大虐殺が起きる」と心配そうに語
る。
アフガン北部でのパシュトゥン人迫害については、米国の国際人
権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチが七日、殺人や集団暴行が頻
発しているとして、国際治安支援部隊（ＩＳＡＦ）の増強配備を促
す声明を出している。
同村の長老シール・モハマドさん（７０）に、「こんな状態が続
くようなら、タリバンに戻ってきてほしいか」と聞いてみた。
「いや、いや、タリバンは対立をあおるからいかん。米国の犬ど
もの方がましだよ」と、皮肉を込めて暫定政権を評価した後、続け
た。「民族間の対立を解決するには、すべての勢力から武器を回収
するしか方法はない。武装が続く限り、この問題は終わらない」
アフガンの民族和解の道は遠く険しい。（マザリシャリフ共同＝
沢井俊光）
（了） ０２０３０９ １５５５
[2002-03-09-15:56]
03/09 15:58 アフガンの民族対立とは 外信52
アフガニスタンの民族対立 主要民族であるパシュトゥン人、タ
ジク人、ウズベク人、ハザラ人の間で、特に対立が激しいのはパシ
ュトゥン人と、ウズベク、ハザラ両民族とされる。これは一九七○
年代初めのザヒル・シャー元国王時代までアフガンを支配していた
多数派のパシュトゥン人が、教育機会などさまざまな面で両民族を
差別してきたためといわれる。南部が地盤のパシュトゥン人は北部
では少数派のため、パシュトゥン人主体のタリバン時代も他民族に
よる執拗（しつよう）な抵抗に遭った。特に、九七―九八年の北部
の要衝マザリシャリフ攻略戦では、住民の大量虐殺を伴う血みどろ
の戦闘がタリバン部隊とハザラ人勢力との間で繰り広げられた。（
マザリシャリフ共同）
（了） ０２０３０９ １５５８
[2002-03-09-15:58]
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。