9・11空爆テロで口火を切った「反イスラム戦争」は、パレスチナが危機的な状況を迎えるなかで、“主戦場”に移るかどうかの瀬戸際にある。
イスラム諸国とりわけアラブ諸国にはパレスチナに対する支援をして欲しいが、下手な支援は、ブッシュ政権の挑発に乗ることになると危惧している。
ブッシュ政権を先兵としている勢力は、イスラム諸国とりわけイスラム法施行国家を転覆させたいと考え、それが実行できる機会を窺ってきた。
9・11空爆テロをイスラム過激派の犯行にすることで、イスラム教徒(ムスリム)の反発を引き出するとともに、「文明諸国民」のイスラムに対する不信感や敵意を生み出した。
「アフガニスタン虐殺戦争」で、ムスリムの憎悪を増大させた。
グアンタモナ基地でムスリム拘束者を“鳥小屋”に閉じ込めることで、ムスリムを侮辱し、激怒を買い続けている。
シャロン政権の「パレスチナ人虐殺作戦」とそれに対するデタラメなブッシュ政権の対応で、多くの国のムスリムが直接的な意志表示を行うまで怒りを高め、パレスチナ=ムスリム同胞との一体感をより強めている。
このような状況は、ブッシュ政権(代表)が予期していなかったことでもなければ、思惑から外れたものではない。大枠で言えば、ブッシュ政権の狙い通りに物事が進んでいるのである。
世界中のムスリムを挑発しその怒りを高めることで、“穏健派”や“親米派”と言われる政権までが、なんからの反米的な政策を採らざるを得ないところまで追い詰めることができたわけである。
パウエル国務長官がイスラエル入りすることで、シャロン政権は、侵攻部隊を撤退させたり、侵攻部隊の攻撃を停止させたりするだろう。
そうしたとしても、パレスチナ人は、対シオニストの戦いを放棄したりはしない。
この間の虐殺に対する怒りで、より激しい攻撃を仕掛ける可能性が高い。
シャロン政権が、「自作自演の自爆テロ」を実行する可能性だってある。
現在は、世界の多くの人がシャロン政権の虐殺を非難しているが、シャロン政権が“平和状況”をつくった後に“自爆テロ”が続発すれば、戦争や殺戮を嫌っているだけの人は、平和を破壊したとしてパレスチナ非難の姿勢に変わってしまうことが考えられる。
ブッシュ政権も、その影響力を最大限に駆使して国際世論の風向きを変えようと、「テロを行い和平を破壊した」としてパレスチナ非難を強めるだろう。
国際世論の風向きが変われば、シャロン政権は、テロ撲滅の大義を掲げて再度侵攻し虐殺を行うだろう。
そのような新しい状況になっても、「反イスラエル」&「反米」で動き始めたイスラム諸国は、シャロン(ブッシュ)政権への非難とパレスチナ支援を引っ込めるわけにはいかない。
この期に及んでパレスチナに背を向けると、自国民の激しい反発を招いてしまう。
しかし、アラブ諸国は、ブッシュ政権の真の狙いが何であるかを冷静に考え、自国民とパレスチナ人のためにも、うかつな支援行動をとらないで欲しい。
また、現時点では、政権が揺らいだり、内戦的な状況になるようなことを避けなければならない。
ブッシュ政権は、中東全域をめちゃくちゃにするための軍事行動を起こすきっかけを手ぐすね引いて待っているのである。
(米国は、2発の原爆を日本の都市に落とした“実績”を持っていることもお忘れなく)
[イスラム諸国が可能な支援]
● パレスチナ人の生活基盤維持に必要な財政支援を行う
● 9・11空爆テロのイスラム過激派犯行説への疑義を国際社会に提示する
● 「パレスチナ問題」におけるシオニシト及び米英の非とパレスチナ人の正当性を国際社会に訴える
● 「パレスチナ問題」は、パレスチナとイスラエルの両当事者間で解決を図ることを原則とし、アラブ諸国や米国などはそれに協力する立場でしかないことを主張する
● 難民となったパレスチナ人の受け入れ
[イスラム諸国が行うべきではない支援]
● 武器をパレスチナに送らない
従来からブッシュ政権が主張している「テロリスト支援国家はテロリストと同じ」の理屈で、攻撃対象とされる可能性がある。(巧妙に個人的にできるものがあればいいのだが)
● パレスチナが武器を購入する目的の財政支援は行わない
人道的な援助でもあれこれ言われかねないと思っているので、明白なものは行わない。(巧妙に個人的にできるものがあればいいのだが)
● 国家が容認したかたちで義勇兵を派遣しない
ムスリムのなかにはパレスチナ人と共に戦おうとする人も出てくるだろうが、国家としてはそれを禁止し、義勇兵の存在が明らかになっても無関係であることを主張し続ける。
● 「原油輸出禁止」政策は採らない
ブッシュ政権はそのような事態を想定して対応してきており、原油禁輸は、アラブ諸国の財政基盤を弱体化させるだけである。(日本は厳しい状況に置かれるが)
他のアラブ諸国は、原油禁輸を打ち出したフセイン大統領の誘惑や挑発に乗らないように...
イスラム諸国の対応についていいアイデアをお持ちの方のフォローを期待しています。