イスラエルのシャロン首相は8日、同国国会で「軍事作戦はなお完了していない」と演説し、ブッシュ米大統領が求める停止要求を拒否した。激戦が続くヨルダン川西岸北部のジェニンでは、8日未明からイスラエル軍が民家が密集している難民キャンプに向けて数百発のミサイルを発射。150人以上の死亡者が出ていると同日午後の軍放送が報じた。武装勢力が住民、宗教者らとともに立てこもっているベツレヘムの聖誕教会では8日朝、イスラエル軍と教会内部との間で銃撃戦があった。11日とされるパウエル米国務長官の現地入りを前に極度に緊張が高まっている。
シャロン首相は8日の演説で、軍事作戦について「過激派の一掃が完了するまで続けるが、出来る限り早急に完了させる」と語った。さらに作戦完了の後、「パレスチナ側のテロ攻撃を阻止するために設定する緩衝地帯まで撤退する」と語り、かつてイスラエルがレバノン侵攻後に設置したような「安全保障地帯」をつくる意思を示した。
さらに将来の和平交渉については「もしパレスチナ側に責任ある指導部ができれば可能になる」との見方を示し、アラファト議長が率いる自治政府との和平交渉を拒否する姿勢を示した。
ジェニン難民キャンプでは、イスラエル放送によると、イスラエル軍が中心部に立てこもる武装勢力に対して投降を求め、住民に警告を発した後でミサイル攻撃をした。軍筋は150人が投降したとしているが、投降を拒否する住民らもかなりいるという。
ベツレヘムからの情報では、イスラエル軍は8日朝、聖誕教会に向けて銃撃し、教会の近くから火の手が上がった。火を消そうとしたパレスチナ人市民が軍に銃撃されて死亡した。教会内部には200人以上のパレスチナ人が1日からイスラエル軍に包囲されている。(22:47)