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(回答先: 石井紘基代議士が追った闇 事件2日前、本誌記者に語っていた… 投稿者 『週刊朝日』2002.11.8号 日時 2002 年 10 月 29 日 21:50:04)
http://gendai.net/contents.asp?c=022&id=155
2002年10月31日 掲載
霍見芳浩のニッポンを斬る
米メディアは「政治的暗殺」と報じた石井議員刺殺事件
民主党の石井紘基議員の非業の死について、米国の指導的メディアは国粋右翼による政治的暗殺だと的確に報じた。「借金を断られて」という私怨の口実は見え見えの偽証だった。また石井暗殺は、1960年10月、同じ行動右翼による社会党の浅沼稲次郎委員長の暗殺に始まる戦後から今日までの国粋右翼による民主リベラルの政治家の暗殺の系譜の一環だとの解説だった。
この系譜には1990年、「昭和天皇に戦争責任あり」と長崎市議会で答弁した本島市長が国粋右翼にピストルで撃たれた暗殺未遂も含まれていた。日本の政治暗殺は自民党の保守右派に近いとささやかれる右翼の下請け人による民主改革派政敵の殺傷に偏っている。そして、この暗殺はその後、狙い通りの成果をあげて、昭和天皇の戦争責任論や日米安保体制による日本の対米隷属、憲法第9条の拡大解釈改憲、銀行の膨大な不良債権に絡むヤクザまみれの政官産腐敗、そして、日本の民主主義の退化などの批判がタブー視されてきている。
石井議員暗殺を米国から見れば、「自殺」と警察が早々と断定した新井将敬自民党議員の怪死や、同じく大阪駅近くのホテルで「自殺」と即断された銀行の頭取の変死にもつながってくる。日本の警察や検察は、米国ではとても「自殺」と即断されないほどの怪しい状況証拠があっても、お上に都合よく処理してしまう。米国のメディアは、諜報機関の資料を使って「悪い奴ほどよく眠る」日本の暗部にメスを入れている。政官産の汚職の核心に迫る者が出てくると、暗殺されたり、「謎の自殺」に仕立てられたりする。
従って、米国各界の日本通にとっては、石井暗殺で、「議員の暗殺で政治活動を止めるとは全身に怒りをおぼえる」との小泉首相談は、「白々しい」としか受け取られない。首相が本当に怒りを感じているのなら、遅まきながらも民主党と協力して議員や官僚の「ザル法でないあっせん収賄罪」を確立するのと同時に、自民党員や官僚、特に司法官僚と組織暴力団や国粋右翼グループとの近すぎる関係を清算すべきである。
石井暗殺は、日本が非民主的な法痴国の証とされている。主権在民の民主国では国民の基本的人権と裁判官の独立性(良心と憲法にのみ忠実に審理して、時の政官産の権力との癒着を避ける)を保障した憲法が主人公である。しかし、日本では、この憲法を無視する最高裁判事以下の司法腐敗によって、与党政治家と官僚が主人公なのである。石井暗殺も「狂った個人の蛮行」として、早々と処理される。
(ニューヨーク市立大教授)