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三重県桑名市上空で昨年5月、中日本航空(本社・名古屋市)の大型ヘリコプターと小型飛行機が空中衝突し、6人が死亡した事故で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は7日、「訓練飛行中の2機が互いに相手機を発見しにくい位置関係(衝突コース)にあったのに加え、両機の教官、訓練生ともに見張りが不十分だったのが原因」とする調査報告書をまとめ、扇国土交通相に提出した。事故調査委は、同社の訓練飛行の社内規定が不十分だったことも指摘、衝突コースの危険性や「死角」を考慮した見張りを徹底すべきなどの改善を求めた。
報告書によると、大型ヘリは、同型機の操縦資格を取るための訓練生が教官と2人で搭乗し、国の許可を受けて操縦練習を行っていた。一方、小型機は操縦資格を持った操縦士(訓練生)に教官が付き添った慣熟飛行訓練で、このほかに飛行計画に記載されていない知人2人も同乗していた。
レーダー記録などによると、名古屋空港からヘリが離陸した13分後に小型機も離陸し、2機は空港西側の訓練空域内に入った。小型機にはヘリが訓練中であることは知らされていた。
小型機が2度、ヘリの前方を横切った後、衝突の1分前から、ヘリは高度約600メートルを時速約185キロで南進し、小型機も同高度を南東に向け時速約157キロで飛行した。2機とも速度や飛行コース、高度に変化はなかったことから、事故調査委は、「衝突1分前から相手機を発見しにくい衝突コースに入っていた」と指摘した。
さらに、胴体の上に翼が付いた高翼機の小型機から見て、ヘリは左真横の方向に位置していた。このため、ヘリの高度の方が少しでも高かった場合は主翼の死角に入っていたとみられ、事故調査委は、小型機について「高翼機特有の死角に対する配慮を欠き、効果的な見張りができなかった」とした。一方、ヘリについては、「小型機は窓枠の死角の方向にあったが、多少頭を移動させれば視認できた」とした上で、「教官の意識が訓練生の操縦操作に集中して見張りがおろそかになった」と推定した。
こうした点を踏まえ、事故調査委は、<1>訓練飛行の教官に対する教育訓練<2>飛行機の死角を考慮した見張り<3>訓練空域内での他機情報の把握――を徹底すべきなどとする「所見」を示した。
訓練空域の運用については事故後、国土交通省が、47の空域を119か所に細分化し、1空域内に訓練機を1機しか飛行させないとする再発防止策を講じている。(読売新聞)
[11月7日10時55分更新]