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勝てば官軍、負ければ賊軍勝って兜（かぶと）の緒を締めよ、という諺がある。若さも手伝ったのだろうか。やはりというか今回の知事選で、他候補に大差をつけて再選を飾った田中康夫氏の、当選後の言動を注意深く聞いたが、不信任を突きつけた県議会に対し、きちっと説明責任を果たすべきだ、と語った▼そこには任期半ばで自分をクビにした県議会に対しての恨みが読み取れる。一個人の力は万能ではなく、おのずと限界がある。気持ちは分かるが、不信任を突きつけられたことへの反省の弁はあまり聞かれなかった。82万人余りの後押しは、確かに大きいが、今回の選挙は多分に「感情」が大きく左右した県議会への反発だったのではないか▼得票のすべてが田中氏を積極的に支援したものではない。１年８カ月の在職中、不穏当な言動、行動で批判を浴びたことも少なくない。マスコミにもよく出演したり、最たるものは「県議はボランティアでするべきだ」などと語り、ひんしゅくを買ったりもした。県議会を挑発し、積もり積もったマグマが爆発したのが、出直し知事選だったことを肝に命じてもらいたい▼県知事は、国のように議会から選ばれるものではなく、県民から直接投票によって選ばれる。県政執行の最高責任者であり、互いに角を突き合わせていたら、車の両輪は前に進まない。幸い、田中氏は首長との関係を「こうべを垂れ、真の対話をしていく必要もあるし、市町村長も同じ目線で話ができるよう、双方が努力せねばならない」とも語った▼田中氏はきょう初登庁するが、２期目の知事に望みたいことは、県議会や首長ともっと政策についてよく話し合ってもらいたい。

コメント：田中康夫は曲がりなりにも街頭演説・記者会見その他で「説明責任」は果たしている。私生活に関しても、かなりきわどい内容までいわゆる「ペログリ日記」で公開しているほどだ（賛否の判断はこのさい置くとしても＜私個人としては、どちらかというとむしろ嫌いな部類だ）。南信州新聞はどうやら、長谷川候補擁立から花岡信昭の立候補断念、及び田中当確が明らかになって以降の県議や各市町村長による長谷川候補切り捨てに至るまでの不透明な密室談合の経緯については不問に付すらしい。県議に説明責任を求めたことがどうして単なる報復的ルサンチマンで済まされるのだろうか？別に対立候補の田中康夫ならずとも、投票の当事者であり主権者である長野県民ならば誰でも知らされる権利がある事項ではないか？シェークスピアの戯曲「ジュリアス＝シーザー」風に言えば「We will be satisfied!（われらは納得させられるべきだ→「わけを聞かせてくれ！」東大名誉教授小田島雄志訳）というところだろう。南信州新聞（特に社長関谷邦彦）にこそ県議らの今回の選挙関連説明責任「不」追及の説明を要求したい。大体、不信任にされた知事側の責任を一方的に追及して、「不信任した」県議側の責任を一顧だにしないところからして胡散臭い。

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