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猛暑のなか、自民党ではメガトン級のリストラ爆弾が炸裂(さくれつ)している。先に成立した衆院小選挙区の「5増5減」の区割り見直しに伴い、地盤を失う議員を比例区で救済するため、比例単独候補に「73歳定年制」を本格適用しようというのだ。そのあおりで前回は「党総裁・首相経験者」の例外措置でリストラを免れた中曽根康弘(84)、宮沢喜一(82)両元首相のクビも飛ぶといった寸法で、永田町は驚天動地の様相である。
「73歳定年制」は、自民党選対本部が平成12年6月に行われた衆院選直前に決定した比例候補の選定基準で、候補者は「原則として公認時に満73歳を超えない」というものである。
ただし、「導入に伴う移行期」として各種の例外措置が用意された。
例えば、「党総裁、首相経験者は最上位に掲載」とされ、年齢オーバーの中曽根、宮沢両氏が堂々と、北関東ブロックと中国ブロックの名簿1位に掲載、“骨抜き”になった経過がある。
定年制厳守は、7月23日に行われた自民党各派を取り仕切る事務総長会談で、森派の中川秀直前官房長官が提案。会談では「『定年制を順守すべきだ』との意見が大勢を占めた」(出席者の1人)という。
現時点で定年制に該当する可能性のある73歳以上の政治家は、中曽根、宮沢両氏ら12人。任期満了での選挙となればさらに4人増え、最大16人の大リストラが挙行される公算になる。
中川氏の提案は、「5増5減」の適用で選挙区を失ったり、大幅な区割り変更で当選が困難になる議員は比例代表転出で救うしかなく、当選が見込める比例枠を確保するには、「73歳定年制」の本格適用は避けられないというものである。
これは、党内の反対論をねじ伏せる形で5増5減をごり押しした執行部の共通認識である。
そのうえ、「機能不全の山崎拓幹事長に代わって、野中広務氏ら各派の“裏ボス”が集まる会合で、総裁派閥の中川氏が提案したところがミソ」(江藤・亀井派幹部)と、党内では本気モードと受け止められている。
こんななか、さっそくささやかれ始めたのが宮沢氏の去就である。5増5減の区割り見直しで最大の調整難航区となるのが、宮沢氏が比例1位の中国ブロックに属する島根県だからだ。
選挙区が1つ減るため、故竹下登元首相の実弟の竹下亘衆院議員か、亀井久興元国土庁長官のどちらかが比例に回らざるを得ない。1位、2位に君臨する宮沢氏と75歳の林義朗元蔵相の堀内派ワンツーコンビがどうしても邪魔になる。
宮沢氏の場合、前回の比例転出の際に「1回限りの特例」とされたこともあり、党内では暗に引退を促す声が出始めているという。
宮沢氏所属の堀内派ではさっそく、丹羽雄哉元厚相が「首相、党総裁経験者は例外だ」と猛反発の声を上げたが、他派からは「73歳で切れば、スパッといくところがあちこちある」(橋本派有力議員)と冷たい眼差しが注がれている。
だが、「宮沢落城」となれば、大勲位・中曽根氏にも火の粉が一気に飛火する。「1人だけ『首相経験者』という例外規定の上にあぐらをかいて居座るわけにもいかなくなる」というわけだ。
実際、先の各派事務総長会談の席上、中曽根氏所属の江藤・亀井派の谷津義男事務総長は「わが派には北関東ブロック“終身1位”の中曽根氏がいる」と反論した。
ところが、他の事務総長は「(中曽根氏は今年3月に終身1位を)返上したはずだ」と、痛烈な批判を浴びせている。
中曽根氏は比例転出となった8年7月、橋本龍太郎首相、加藤紘一幹事長(いずれも当時)による「総裁裁定」の特権を受けている。
「比例選北関東ブロックの最上位とし、終身処遇する」となったが、今年3月の同派総会で「終身1位の特権を返上する」と宣言している。
江藤・亀井派では「(内輪の会合での発言で)正式な見解ではない」と主張する。中曽根氏も「一切ノーコメント」とだんまりを決め込んでいるが、風当たりはかなりきついのが実情だ。
党実力者の1人は「厳格に適用すれば、中曽根、宮沢両氏ともアウトだ」と明言したうえで、「まだそこまで(話が)いっていない」と、首相経験者に限って例外規定を存続させる可能性も示唆している。
すでにリストラ対象議員の一部には“定年”を回避するため、選挙区へのくら替えを模索する動きが出始めている。
だが、この実力者は「中曽根、宮沢両氏が選挙区にくら替えすることはない」と断言する。
「例外規定の存続による比例残留」か、「厳格適用を受けて引退」の二者択一しか残されていないというのだが…。