現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
気象庁、HP公開先送り
天気予報や気象観測データを公表するため、気象庁が8月1日から予定していたホ
ームページの開設が、先送りに追い込まれた。
こうした情報を同庁が提供するのは初めてだが、すでに同様のサービスをしている
民間の気象業者が「民業圧迫だ」などと反発、両者の話し合いがまとまらなかったた
めだ。国民にとっては公式の情報提供で選択肢が増える利点があるが、きめ細かい気
象情報サービスを提供してきた民間の足を引っ張る恐れもあり、同庁は「強引には進
められない」と頭を悩ませている。
同庁には、これまで独自に天気予報などを公表する体制はなかったが、今年5月、
情報技術の普及を目指す政府の「e―Japan戦略」の一環として、全国各地の天
気予報やアメダスの観測データ、台風の進路予想地図、警報・注意報などをホームペ
ージで初めて公開する計画を発表。8月1日からの公開を目指して準備を進めてき
た。
ところが、既にホームページに天気予報などを載せていた民間の気象業者が、「民
間が高い金を払ってデータを入手して運営している事業に、国が税金を使って参入す
るのはおかしい」などと猛反発。6月には、民間気象業者35社で構成する「気象振
興協議会」が、正式な話し合いを求める要望書を山本孝二・気象庁長官に提出した。
◆有料情報
ある民間会社は、同庁との関係を心配して匿名を条件に、「我々民間会社はたいて
い、天気予報のホームページに客を集めて、有料情報の販売促進をはかっている。天
気予報を見たい人がみんな気象庁のホームページに流れてしまったら、商売にならな
くなる可能性がある」と指摘する。
民間には、同庁のデータに加えて気温や降水量を測定する独自の観測網を整備、新
宿や銀座といった東京都内の繁華街の局地的な天気予報を配信している会社や、携帯
電話向けに気象情報を提供している会社もある。2000年度の売上高は、43社合
計で284億円。ホームページ利用の減少は、こうした努力に水を浴びせかねない。
◆妥協案
気象振興協議会と同庁の話し合いは数回にわたって行われ、警報・注意報などの防
災情報公開では合意が成立したが、天気予報については議論が平行線。だが同庁は、
公益法人「気象業務支援センター」を通じて民間会社に有料でデータを提供している
ことや、民間会社との人的交流もあることから、決裂は避けたい。このため妥協案と
して、ホームページの目立つ場所に民間気象業者のホームページにジャンプするボタ
ンを設けたうえで公開することを提案、現在、民間業者からの回答待ちの状態だ。
これに対し民間業者からは、「今でも民間業者のページに移ることは可能。そんな
小手先の手直しではなく、官民共同でホームページを作るなど、抜本的に考え直すこ
とを提案したい」などの声が出ている。
同庁企画課は「見切り発車はできないので、あすの公開は見送るしかない」と予定
通りの公開を断念。民間の対応を見ながら、めどを付けたいとしている。
http://www.yomiuri.co.jp/04/20020731it05.htm