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三百人委員会/秘密結社ローマクラブ=ユダヤフリーメイソン
投稿者 ジョン・コールマン博士 著 日時 2002 年 11 月 16 日 03:09:00:

三百人委員会

   


陰謀家たちの超権力構造
三百人委員会
ついに暴かれた秘密世界政府の“極悪”正体!
ジョン・コールマン博士 著
歴史修正学会 訳

著者序文
 私が情報将校の専門職に就いている期間、高度の機密文書に接触す
る機会が多かったが、西アフリカのアンゴラで政治科学現場担当官と
して外勤中に、異様なまでにあからさまな内容の超極秘文書を閲覧す
る機会があった。それを見た私は怒りがこみ上げ嫌悪感をもよおした
。以来、私は英国とアメリカの政府を動かしているのはどういう勢力
なのかを一貫して追究することになった。
 王立国際問題研究所(RIIA)、外交問題評議会(CFR)、
ビルターバーガーズ、三極委員会、シオニスト、フリーメーソン、
ボルシェヴィズム、薔薇十字会などといった秘密結社およびこれらの
結社が支配する下部組織についてはすべて、私には完全におなじみで
あった。情報将校として、またそうなる前にロンドンの大英博物館で
研修した若き学徒として、それらすべてに私は最初の情報経験を積ん
だが、さらにアメリカ人がよく知っていると考えられるおびただしい
秘密結社名を加えることになった。
 しかし、一九六九年に私がアメリカ合衆国に来てみると、エルサレ
ムの聖ヨハネ団、ローマクラブ、ドイツ・マーシャル財団、チニ財団
、円卓会議、フェビアン協会、ベニスの黒い貴族、モンペルラン協会
、地獄の業火クラブ、その他多くの秘密結社が完全には知られていな
いか、どうひいき目に見ても、ほんとうの機能はほとんど知られてい
ないに等しいことがわかった。
 一九六九年から七一年にかけて、私は専門的な論文やカセットテー
プを次々に発表し、状況の改善に取りかかった。おおいに私を驚かせ
たのは、多くの人びとが、あたかも物書きとしてはじめから知ってい
たかのようにどしどしこれらの秘密結社名を引用しながら、秘密結社
についてまったくわかっておらず、最近になって仕入れた情報の出所
について明かすのはいやがることであった。
人まねはもっとも心のこもったお世辞なのだろうと思って、私は自ら
を慰めることにした。
 極度の危険・私と妻に加えられる攻撃・経済的損失・ひっきりなし
の嫌がらせ・恐喝と中傷に直面しながらも私はどんどん調査を続けた
。すべては私の信用の失墜を目的として、いわゆるキリスト教右翼、
「アイデンティティー運動」、右翼「愛国者」グループに埋めこまれ
た政府機関員とたれこみ屋たちが操って慎重に組み立て画策した計画
の一部だったのだ。
 大胆強烈に誰はばかることなく反ユダヤ主義を声高に装ってこれら
の機関員たちは工作したし、いまもなお工作している。ユダヤ主義が
彼らの主要な敵だと、われわれを信用させたいのだ。これらの機関員
―たれこみ屋たちは、合衆国のいたるところにいる政治的・宗教的保
守派におおいに気に入られ尊敬を受けている同性愛者のグループに操
られている。
 私の仕事に対する中傷・虚偽と憎悪・逆情報といった彼らの作戦は
、いまだに他の著作者たちが企んだものだと偽りながら、引き続き衰
えもせず行われているが、彼らが望むような効果はあがっていない。
英国や合衆国を操る上位平行秘密政府全体の仮面を最終的に引きはが
すまで、私はこの仕事を続けるだろう。
 本書はなお継続している努力の一部分である。
一九九一年十一月
ジョン・コールマン博士


目的と手段
彼らは堂々と歩いている
 きっとわれわれのかなり大多数は、政府を動かしているのは、国内
であれ外交であれ政治・経済の諸問題を実際に担当している人ではな
いということに気づいている。そのため多くの人びとは、あれこれの
新聞に真実が語られてはいないかと探し求めてきたし、私のような新
聞寄稿家も求めてきた。
 が、合衆国を末期的症状に至らしめたものの正体が必ずしも明らか
にはされなかった。「求めよ、さらば与えられん」は、この連中に当
てはまるとはかぎらない。われわれが発見したことは、人びとはとて
つもない闇のなかを歩かされ、わが国がどこに向かっているのか気に
もせずわざわざ考えもせずに、合衆
国は常に自分たちのためにあると堅く信じているということである。
 これが国民の最大多数が置かれている現状であり、われわれは秘密
の政府の掌中で操られているのである。
 われわれはしばしば、こういうことをやっている「彼ら」のことを
耳にする。「彼ら」は文字どおり殺しを委員会という破壊活動組織と
同一であることを暴露する論文を発表した。この論文は合衆国におけ
るこの二つの組織に最初に言及したものであった。「私の論文が牽強
付会だと感じて正しい判断を狂わせてはならない」と私は読者に警告
した。それで私の論文と、イルミナティの秘密計画を入手したときう
まくやってのけるように見える。「彼ら」は増税し、われわれの息子
や娘たちをわが国の利益にならない戦場に送って殺す。
「彼ら」は、われわれの手の届かない場所や視野の外にあり、「彼ら
」に対して何かしようとしても正体がつかめずにイライラする。誰も
はっきりとこれが「彼ら」だと断定できないように見える。これが何
十年ものあいだ付きまとっている状態だ。本書ではこの謎の「彼ら」
の正体を暴くつもりである。しかるのちに状況を改善するのは、国民
の行動いかんにかかっている。
 一九八一年四月三十日、私はローマクラブが三百人にバヴァリア政
府が発した警告との類似点をあげておいた。合衆国におけるローマク
ラブと三百人委員会の役割については、本書のあとの章でふたたび述
べることにする。
 一九八一年の論文で予見したことの多くが現実のこととなった。
無名のフェリペ・ゴンザレスはスペインの首相となり、ミッテランは
フランスでふたたび権力を握り、ジスカール・デスタンとヘルムート
・シュミットは失脚し、スウェーデンの貴族で三百人委員会のメンバ
ーであるオラフ・パルメが復権し、レーガンの大統領としての権威は
ゼロにさせられ、三百人委員会の下した脱工業化ゼロ成長という命令
によってわが国の鉄鋼・自動車・住宅産業は破壊された。
 パルメが果たした重要な役割は、ローマクラブが彼を利用して合衆
国関税の対ソ禁輸品目の技術提供をソ連向けに行なったことにある。
また、パルメの世界的通信ネットワークによってニセのイラン人質危
機にスポットライトを浴びさせた。このときパルメは、ワシントンと
テヘランのあいだを往復しては合衆国の主権保全を侵蝕し、三百人委
員会の領分すなわちオランダのハーグの国際司法裁判所にニセの危機
を提訴しようと努めた。
 戦争と疾病と大量殺人がなされたのちに、地上に残った人類の大多
数の奴隷化までも含む神と人間に対する公然たる陰謀は隠し切れるも
のではない。諜報活動の世界では、何かを隠す最上の方法は見えると
ころに堂々と置いておくことだと教えられる。
 ずっと以前の例でいえば、ドイツは一九三八年にメッサーシュミッ
ト戦闘機の秘密を隠すため、パリ航空ショーに堂々と出展した。諜報
機関員やスパイがうつろな木の幹のなかやレンガ積みの壁の背後に手
がかりを探しまわっているのに、彼らが探し求めていた情報はすぐ目
の前にあったのである。
 上位平行秘密政府は、じめじめとした秘密地下室から指令を発して
操作するわけではない。それはホワイトハウスや米国議会、ダウニン
グ街十番地や英国上下両院など公然とした場所に姿をあらわしている
。それはモンスター映画によく似ていて、長い髪と長い牙をもった恐
しい姿のモンスターが、うなり声をあげ、よだれを垂らしながらそこ
らじゅうをうろつく。
 映画は気晴しになるが、本物のモンスターはビジネススーツを着、
リムジンに乗って国会・議会へ仕事に出かけるのである。これらの人
間は見えるところを堂々と歩いている。彼らは統一世界政府=新世界
秩序の使用人である。婦女暴行犯が犠牲者に優しく声をかけて車に乗
せるように、彼らはさらさらモンスターであるとは見えない。そんな
素振りをチラとでも見せたら、犠牲者は恐怖のあまり金切声をあげて
逃げだしてしまうことだろう。
 同じことは大小の行政機関にも言える。ブッシュ大統領は上位平行
秘密政府の忠実な使用人とは見えないが、だまされてはならない。
彼はホラー映画にあらわれる怪物に引けをとらないモンスターなので
ある。ブッシュ大統領が命令してイラクで十五万人のイラク兵をいか
に惨殺したかを見てみよう。兵士たちはジュネーブ協定の裁定にした
がい、合意された撤退のために白旗を掲げて軍用車に乗りイラクへと
帰還する途中であった。白旗を振っているにもかかわらずアメリカの
空爆にさらされたイラク軍の恐怖を想像してみるがいい。別の戦線で
は、一万二千人のイラク兵が生きながら壕に埋められた。これこそ
言葉の真の意味でモンスターそのものの所行ではないだろうか。
 ブッシュ大統領はどこからこのモンスターの所行を行なえとの命令
を得たのか。王立国際問題研究所(RIIA)からであった。その
RIIAは、「オリンピアンズ(オリンポスの神々)」と呼ばれる
三百人委員会から指令を受けたのである。のちに詳しく述べるが、「
オリンピアンズ」でさえ顔を隠してはいない。しばしば彼らはパリ航
空ショーのような催しを行なう。陰謀探しファンは、誤った場所で誤
った方向に実りのない探索をして時を無駄に費す。エリザベス二世女
王は英国議会開会式で何を演じているか注目してほしい。その場には
、三百人委員会の長が見えるところにいるのである。合衆国大統領の
就任宣誓式を見たことはおありだろうか。その場には、三百人委員会
のもうひとりのメンバーが見えるところにいるのである。問題はただ
気づくかどうかということである。
 全能の三百人委員会に奉仕する陰謀家たちは誰か。確実に陰謀が存
在し、その陰謀はイルミナティ、フリーメーソン、円卓会議(ラウン
ド・テーブル)、ミルナー・グループその他いろいろの名称の団体に
よって遂行されていることが巷間知られている。それらに加えて
CFRと三極委員会とが、内政・外交問題に関する好ましからざる
団体の代表である。円卓会議がワシントンの英大使を通じて合衆国の
諸問題に容喙することを知っている人もいる。
 問題は、見えざる政府のメンバーたちによる反国家活動に関する
真実の情報が、非常に入手しがたいという点にある。私は聖書にある
預言者ホセアの深遠な言葉「悟りのない民は滅びる」を引用しよう。
すでに対外援助に関するスキャンダルについて私が行なった告発をご
存知の読者もおられようが、そのなかで私はいくつかの謀略機関をあ
げた。だが実際のところ、その数は無数だ。彼らの最終目的は合衆国
憲法を廃棄し、主によって神の国として選ばれたこの国を、暗黒時代
よりもさらに劣悪な状態に戻し、神なき統一世界政府=新世界秩序に
併合することにある。

アルド・モロ首相は誰に殺されたか
 私たちは実際にあった歴史のなかの事例、イタリアを共産化しその
産業組織を破壊する計画を問題にすることにしよう。三百人委員会は
ずっと以前に、世界を小さな――現在よりもずっと小さな――よりよ
い世界にしよう、という決定を下していた。つまり、ずっと小さいこ
とがよりよい世界だ、と彼らは考えたのである。そのためには、自然
資源のほとんどを食いつぶすおびただしい数のムダ飯食いが選別され
処分されるべきである。つまり、産業の進歩は人口増加を促進する。
それゆえに、創世記の「産めよ殖えよ地に満ちよ」という神命は廃棄
されなければならない。すなわちキリスト教の破壊、産業国家の緩慢
かつ確実な崩壊、三百人委員会によって「余分な人口」と断定された
何億という人口の削減、委員会のこうした地球計画の邪魔をする指導
者の排除が必要となったのである。
 委員会の初期のターゲットはイタリアとパキスタンだった。イタリ
アの故アルド・モロ首相は同国に要求された「ゼロ成長」と人口削減
に反対した指導者のひとりであったため、「オリンピアンズ」から
政策実行の権限を委託されたローマクラブの怒りを買った。
 一九八二年十一月十日、ローマの法廷でモロの親しい友人のひとり
が、前首相はRIIAのエージェント――彼はまた三百人委員会の
一員でもあった――によって、彼がまだ米国国務長官であった時期に
、脅迫を受けていたと証言した。モロを脅迫したときにキッシンジャ
ーは、明らかに合衆国の対外政策を遂行したのではなく、むしろ三百
人委員会外交政策の一翼をになうローマクラブから受けた指示にした
がって行動したのである。
 公開の法廷で爆弾証言をしたのは、モロの朋友ゴッラード・ゲルゾ
ーニであった。彼の爆弾証言は全イタリアのテレビとラジオで一九八
二年十一月十日に報道され、いくつかの新聞にも掲載された。だが、
この生々しいニュースは合衆国では完全に黙殺された。敢然とした報
道の権利を有するはずの高名な自由の砦、ワシントン・ポストとニュ
ーヨーク・タイムズの二紙は、ゲルゾーニ証言のことは一行たりとも
報道せず、その重要性については一顧だに与えなかった。
 通信社やテレビ局が提供するニュースも同じだった。イタリアの
アルド・モロは何十年にもわたって指導者的な政治家であったこと、
その彼が一九七八年春に白昼誘拐されたこと、彼のボディガード全員
が殺戮されたことなどの事実は、たとえキッシンジャーがこれらの
犯罪の共犯者であることが告発されたとしても、ニュース性がないと
考えられたのであろうか。それとも、キッシンジャーが加担したから
こそ、沈黙を守ったのであろうか。
 一九八二年にこの忌まわしき犯罪を告発したなかで、私は、キリス
ト教民主党の誠実な指導者であるアルド・モロが、P2メーソン結社
のコントロールする暗殺者によって殺害されたことを論証した。P2
は、イタリアをローマクラブが敷いた産業政策と大幅な人口削減の路
線に投げこむという目的をもっていたからだ。完全雇用と産業ならび
に政治の平和を通じてイタリアを安定させるというモロの計画は、
共産主義に対するカトリックの反対を強化し、中東の不安定化という
重要目標をその分だけ難しくするはずのものであった。
 以上に述べたことから、陰謀家たちの計画がいかに先に進んでいる
かは明白である。彼らは五ヵ年計画という観点では考えない。アルド
・モロ殺害事件の意味を考えるには、かつて初期カトリック教会に
ついてワイスハウプト[一七四八〜一八三〇、イルミナティの創立者
=訳注、以下同]が宣言したことに戻る必要がある。モロの死は、
イタリアを不安定化する計画の障害を除去したことになり、現在われ
われが理解するところでは、十四年後に湾岸戦争という形で実行され
るはずの中東に対する謀略計画を可能ならしめたのである。
 イタリアは三百人委員会のテスト・ターゲットとして選ばれた。
イタリアは、中東経済と政治に直結する中東にもっとも近いヨーロッ
パの国であるために、謀略者たちの計画にとっては最重要国であった
。イタリアはまた、ワイスハウプトが殲滅を命じたカトリックの総本
山がある国であり、ヨーロッパでもっとも強力な寡頭支配ファミリー
のトップに位する古代の「黒い貴族」のうちの数家の故郷でもある。
 イタリアがモロの死によって弱体化されるなら、中東情勢に波及し
て、この地域での合衆国の影響力を弱体化するであろう。イタリアは
別の視点からも重要である。そこはイランやレバノンからヨーロッパ
へ流入する麻薬の入口なのだが、この問題はのちに取り上げるつもり
である。
 一九六八年にローマクラブが設立されて以来、さまざまのグループ
が社会主義の名のもとに結合し数々のイタリア政府の没落をもたらし
た。
 そのなかには、ベニスとジェノヴァの黒い貴族があり、P2メーソ
ン結社や赤い旅団があり、いずれも同じゴールを目指して活動した。
赤い旅団―アルド・モロ事件を捜査していたローマ警察は、このテロ
リスト・グループと密接に協力するいくつかの非常に重要なイタリア
の氏族の名に出会った。この有力で有名な氏族が、彼らの自宅や所有
家屋を赤い旅団のアジトに提供しているケースが、少なくとも一ダー
スはあるとする証拠を警察はつかんだ。
 アメリカの「貴族」は、イタリア共和国を滅亡させるために一役買
っていた。この仕事に目覚ましい貢献をしたのがリチャード・ガード
ナーで、カーター大統領のイタリア大使として派遣され、公的立場に
ある時期でさえそうだった。その当時、ガードナーは、ローマクラブ
の重要な一員でありNATOのキーマンであるベッティーノ・クラク
シの直接のコントロール下に工作していた。クラクシは、陰謀家たち
によるイタリア共和国滅亡の企ての急先鋒であった。のちに述べるよ
うに、クラクシはイタリアを崩壊させることに九分九厘まで成功しか
かっていた。彼は陰謀家たちの世界支配構造における第一級の策士と
して、イタリア議会で離婚・堕胎法案を強引に通過させるだけの力を
もっていた。そのようなことにでもなれば、カトリック教会ひいては
イタリア国民のモラルに対しこれまでに経験したこともないような
広汎かつ破壊的変化が襲いかかるという事態におちいったであろう。
 ロナルド・レーガン大統領が選ばれたのち、一九八〇年十二月に、
ローマクラブと社会主義インターナショナルの後援のもとに、ある
重要な会議がワシントンDCで開催された。これら二つは、三百人委
員会に直接責任を負う組織である。その会議の主要議題は、いかにし
てレーガン大統領の地位を中立化するかという問題だった。あるグル
ープの提案が採択され、われわれが振り返ってみると、陰謀家たちの
採用決定した計画が成功を収めてきたことは完全に明白だった。
 この謀略がいかに広範かつ巨大であるかを説明するには、ここらで
、三百人委員会には少なくとも四十の「支部組織」が知られていて、
それらの機能と名称についてのリストをあとで掲げることにする。
それをよく研究するならば、一個の陰謀中枢体がいかに効果的に機能
しているか、また、合衆国憲法に謳われたような個人の自由にもとづ
く進歩的文明世界の存立基盤そのものに対して彼らが猛攻撃を仕掛け
ているのに、この世のどんな権力もそれに対抗できないのはなぜなの
かが、明らかになる。
 ゲルゾーニの宣誓供述のおかげで、イタリアおよびヨーロッパは
――合衆国ではなくて――アルド・モロの死の背後にはキッシンジャ
ーが存在していたことがわかった。この悲劇的事件は、三百人委員会
がどんな政府にでも例外なく介入する能力があることを示している。
 キッシンジャーはただモロを脅迫しただけでなく、イタリアの経済
・産業振興政策を断念しないならばモロを「排除」するというその
脅迫を実行したのである。
 一九八二年六月と七月にモロの妻は公開の法廷で、夫が殺されたの
は彼女が言う「合衆国の政府高官」が本気で彼を殺すと脅迫した結果
であることを証言した。エレノラ・モロ夫人は、キッシンジャーが使
ったとゲルゾーニ宣誓供述で報告された言いまわしを、一言一句精確
に何度も繰り返した。つまり、「現在取っている政治路線を止めるか
、その路線のために高価な代償を払うかだ」と。ゲルゾーニは裁判官
に再喚問され、モロ夫人が語っている人物はキッシンジャーに間違い
ないかと問われた。ゲルゾーニは、その人物が自分が前に親しかった
キッシンジャーその人であると答えた。
 ゲルゾーニは法廷で、イタリアの指導者たちが公式訪米したさいに
、キッシンジャーがホテルのモロの部屋を訪れて脅迫したことを重ね
て説明した。モロはNATOのメンバー国であるイタリアの当時の
首相兼外相として高位の人物であり、マフィアもどきの圧力や脅迫に
さらされる筋合いにはなかった。モロはイタリア大統領とともに公式
資格でアメリカを訪問したのである。そのときキッシンジャーは、
いまでもそうであるが、王立国際問題研究所の重要なエージェントで
あり、ローマクラブとCFR(外交問題評議会)のメンバーであった。

なぜ原子力が世界中で憎まれるのか
ウル・ハク大統領の飛行機事故死
中東、朝鮮、ベトナムの三つの戦争によって合衆国を弱体化させる企
みで果たしたキッシンジャーの役割はよく知られているが、湾岸戦争
における彼の役割も同様であり、クウェートを元どおり自分の支配下
に戻し、他の国々が自分の意志で自分の運命を決定しないようにイラ
クを見せしめにするという三百人委員会の傭兵が合衆国軍であった。
 キッシンジャーは独立国家パキスタンの大統領、故アリ・ブットを
も脅迫した。ブットの「罪状」は、核兵器を保有しようとしたことで
あった。イスラム教国パキスタンは、中東での絶えまないイスラエル
の侵略に脅威を感じていた。そのブットは、一九七九年、パキスタン
のCFRであるジア・ウル・ハク将軍によって、法の殺人処分を執行
された。
 上昇志向の強いウル・ハクは、自分は誰にも束縛されないというこ
とをCFRに見せつけ、あわせてもっと援助を得るため、さらにあと
でわかったことではあるが、リチャード・ヘルムズの殺害をも企んで
計画的にイスラマバードのアメリカ大使館を激高した群集に襲撃・放
火させた。幾年かのち、ウル・ハクはアフガニスタンで荒れ狂う戦争
に介入したことによって、死をもって自分の罪を贖わなければならな
かった。彼が乗ったC−130ハーキュリーズ機が離陸直後にELF
(極低周波)の攻撃を受けて、宙返り飛行をさせられ大地に叩きつけ
られたのである。
 ウル・ハク将軍を排除せよという三百人委員会の意を体して、ロー
マクラブはハーバー・ワッサム准将率いる一団の合衆国陸軍国防情報
局員を含む何人もの合衆国軍人をウル・ハク将軍もろとも殺害するこ
とに、一片の良心の痛みも感じなかった。ウル・ハク将軍は、トルコ
秘密情報部から、飛行中に襲撃される危険があるから絶対に飛行機に
乗らないようにと、ずっと言われ続けていた。そのことがあったのか
、ウル・ハクは「保険対策」として米国のチームと一緒の飛行機に乗
るのだと側近に漏らしていた。
 一九八九年、私は『空中のテロル』という著作で、事件を次のよう
に書いた。
 「ウル・ハクのC−130がパキスタンの軍事基地から離陸する少
し前、奇妙なトラックがC−130を収めてある格納庫のすぐ近くに
止まっていた。管制塔が監視要員にそのことを知らせたが、C−130
はすでに離陸し、謎のトラックはすでにその一から姿を消していた。
その一、二分後、機は宙返りをはじめ、大地に叩きつけられて火の玉
と化した。C−130のこのような行動は、驚異的な信頼性を誇る
同機としてはまったく説明のつけようがないものだった。パキスタン
と合衆国との共同調査の結果では、パイロットにも過失がなく、機械
あるいは構造上にもなんら欠陥はなかったことが明らかになった。
が、宙返り飛行は、航空機がELF銃で攻撃されたさいの明白なトレ
ードマークであった」
 ソ連軍が低周波銃の開発が可能であったことは、クルチャトフ原子
力研究所集中高速電子ビーム部門に所属するソ連科学者たちの研究を
通じて、西側にも知られていた。その二人の専門家は、Y・A・ヴィ
ノグラオフとA・A・ルカゼである。二人の科学者はレデデフ物理学
研究所に勤務していたが、同研究所は電子工学とX線レーザー専門の
研究所であった。
 この情報を得た私は、他の資料から裏付けを探したところ、米国に
おいて国際エレクトロニクス・ジャーナル誌が、ハク将軍のC−130
撃墜に用いられた方法に関して私が得た情報を裏づける資料を刊行し
ていたことがわかった。加えて、この情報は間違いないと、私の二人
の情報源が請け合ってくれた。
『ソ連のラジオ・エレクトロニスと通信システム』と題して英国で刊
行されたソ連のこうしたテーマに関する科学論文から有益な情報を、
私は手に入れた。
こうして私には、ウル・ハク将軍が殺害されたことは疑いのない事実
となった。C−130の格納庫の近くにあったトラックは、疑いもな
くソ連軍が所有していると考えられるタイプの可動型ELF砲を搭載
していたのである。
 アリ・ブットが入獄中にひそかに国外にもちださせた彼の自筆証言
によると、キッシンジャーの脅迫は強烈であった。「お前が国家建設
計画を続けるというのなら、恐ろしい目に会わせてやる」。パキスタ
ンに近代化産業をもたらすべく原子力エネルギー計画を要求するブッ
トは、キッシンジャーならびにローマクラブと衝突していた。このよ
うな計画は、三百人委員会の目から見れば、パキスタン政府にキッシ
ンジャーが与えた命令に真っ向から対立するものだったのだ。
 キッシンジャーがアリ・ブットを脅迫した行動は、合衆国政府の
公的な行動ではなく、現代のイルミナティの政策である。

国をコントロールする武器「対外援助」
 なぜ原子力が世界中で憎まれるのか、またなぜエセ「環境保護」運
動がローマクラブによって創立され、経済的援助を受けて反核闘争を
遂行するよう要請されたのかについて、はっきりと理解する必要があ
る。
 安価に大量の電気を供給する核エネルギーがあれば、第三世界諸国
は合衆国の対外援助を受けずに独自の力で歩めるようになる。核によ
る電力は、第三世界諸国が、三百人委員会が封じこめようとしている
立場、後進国という立場から脱却する重要な鍵なのである。
 対外援助が少なければ、IMFによる天然資源コントロールを受け
ることが少なくなる。ローマクラブとそれを支配する三百人委員会が
ひどく嫌ったのは、発展途上国が自分たちの運命を自分たちで管理す
るという考え方であった。合衆国では引き続き、ローマクラブの「脱
工業化ゼロ成長」計画と呼応して、産業発展を封じこめる役目をみご
とに果たしている核エネルギー反対が見られるのである。
 アメリカの対外援助に依存することは、実際には諸外国をCFRに
隷属させる。援助を受ける国の人びとは、ほんの少ししかうるおわな
い。IMFが国の天然資源を情容赦なく丸裸にする許可を与える見返
りに、政府の指導者たちのポケットに援助金が収まるからである。
 元ローデシア、現ジンバブエのムガベ[ロバート・ガブリエル・ム
ガベ、一九二五〜、同国初代首相一九八〇〜]は、天然資源(この場
合は純度の高いクロム鉱)がいかに対外援助によって支配されるかの
良い例である。LONRHO[ロンロー、一九〇九年ロンドン・ロー
デシア鉱業土地会社として設立。八二年に現社名となる。世界八十カ
国以上に八百の子会社を有する英国のコングロマリット。本社ロンド
ン。従業員九万四千人]、三百人委員会の重要なメンバーのアンガス
・オギルヴィーが彼のいとこ女王エリザベス二世に代わって管理する
この巨大な産業複合体は、現在ではこの重要資源を完全に支配してい
る。その一方で、合衆国から三億ドルを超える施しを受けているにも
かかわらず、国民は貧困と悲惨の底にますます沈んでいくのである。
 ロンローは現在ではローデシアのクロム鉱を専制支配し、思うがま
まにその価格を操っているが、スミス[イアン・ダグラス・スミス、
一九一九〜、ローデシア首相(一九六四〜七九)、一九六五年に英国
からの独立を一方的に宣言した]政権のもとではそうはいかなかった
。ムガベ体制が権力をとる以前は二十五にわたって適切な価格水準が
維持されていた。イアン・スミス政権下の十四年間にもいろいろな問
題があったが、彼の退陣後、失業者は四倍になり、ジンバブエは混沌
状態におちいり事実上崩壊した。ムガベはアメリカから多額の対外援
助を受け(年間ほぼ三億ドル)、彼自身は三つのホテルをフランスの
コートダジュール、キャプフェラとモンテカルロに建設できた。とこ
ろが同国の市民たちは、不平不満をいっさい寄せつけない冷酷非常な
独裁政治は言うにおよばず、疾病や失業、栄養失調と闘っている。
このことは、アメリカに一セントも対外援助を要求せず、受け取りも
しなかったスミス政権とは対照をなしている。
 ジンバブエとすべてのアフリカ諸国にみられるように、対外援助は
その国をコントロールする強力な武器となることは明白である。
 このことはアメリカ市民をも不本意な苦役に縛りつけ、政府に対す
る意義のある反対をできにくい状態にさせている。
 デイヴィッド・ロックフェラーは、一九四六年に対外援助案を法律
として通したとき、自分がやったことをよく知っていた。そのとき
以来それは、正体が暴露されてみると、法令集に載っているなかでも
もっとも憎むべき法律のひとつとなった。つまり、政府が実行して
われわれ国民がツケを払うというペテンである。

ローマクラブと統一世界政府計画
三百人委員会のもっとも重要な外交部門
 陰謀家たちはいかにして世界を掌握し続け、とりわけ米・英を窒息
させ続けることが可能なのか。もっともよく問われる質問はこうだ。
 「ひとつの団体が、いついかなるときでも起こっていることを把握
するなどということが、どうしてできるのだろうか、どうやってそれ
をコントロールするのだろうか?」
 本書はこのような質問、またその他の質問に答えようとするものだ。
 陰謀家の成功の実体と取り組みうる唯一の方法は、三百人委員会の
メンバーを擁する秘密団体、公然組織、政府機関、銀行、保険会社、
国際企業、石油産業、その他何十万という団体・財団の活動に論及す
ることである。三百人委員会という究極の支配団体は、いま現在、そ
して少なくとも百年間にわたって世界を操っているのである。CFR
と三極委員会についてはすでに多数の書物が刊行されているので、
われわれは真直ぐにローマクラブとドイツ・マーシャル財団について
述べよう。
 私がこれらの組織をアメリカで紹介したときには、ほとんど誰も知
らなかった。一九八三年に刊行した私の最初の著作『ローマクラブ』
は、ほとんど誰の関心もひかなかった。十分な知識のない多くの人び
とは、ローマクラブとはカトリック教会に関係ある何かだろうとか、
ドイツ・マーシャル財団とはマーシャル・プランと関係ある何かだろ
うぐらいにしか考えなかった。
 三百人委員会がこういうたぐいの名前を付けたのは、まさにその理
由からである。真実起こっていることから目をそらせ混乱させるため
だ。合衆国政府はそれを知らないのではなくて、陰謀の一部として動
き、真実を知らせるよりは情報を隠蔽する手助けをした。
 私が出版してほんの数年後、数人の著述家が私の著作のなかに未発
掘の情報の山があることに気がついて、あたかも彼ら自身この問題に
かねてから通暁していたかのごとく書いたり語ったりしはじめた。
 ローマクラブとその大蔵省であるドイツ・マーシャル財団とが、
北大西洋条約機構[NATO]という隠れ蓑の下に機能する二つの
高度に組織された謀略機関であること、ローマクラブ執行部の大多数
はNATO関係者であることが彼らにひらめいたのだ。ローマクラブ
はNATOが政策として掲げたものをすべてまとめ上げ、三百人委員
会のメンバーであるキャリントン卿の活動を通じて、NATOを政治
的(左翼)勢力とそれまでの軍事同盟との二つの党派に分けた。
 ローマクラブは、いま現在も三百人委員会のもっとも重要な外交部
門のひとつである。もうひとつは、ビルターバーガーズである。ロー
マクラブは一九六八年に、そもそもモーゲンソー・グループの強硬派
たちが、統一世界政府――私はこの名のほうが正確であるとは思うの
だが、現在では新世界秩序と呼ばれている――計画をはやめるための
新規かつ緊急の運動を興すために、故アウレリオ・ペッチェィから
電話で招集されたことを共通基盤として結成したものである。統一
世界政府は新世界秩序よりも確かに正確に内容をあらわしている。
 以前にはいくつかの「新世界秩序」があっていさささかまぎらわし
かったし、「統一世界政府」はひとつもなかったからである。

不況がひき起こす地球規模の社会変動
ペッチェイの電話には、アメリカ、フランス、スウェーデン、英国、
スイスそれに日本から、召集可能なものたちのなかでも、もっとも破
壊活動的な「未来計画者」たちが応えた。一九六八年から一九七二年
にかけて、ローマクラブはニューサイエンス科学者、世界主義者、未
来計画者、ならびにあらゆる種類の国際主義者の結合体となった。
 ある代表が「われわれは、いろいろな色のヨセフの晴れ着[ハゲイ
トウのこと]になった」と述べたように、ペッチェイはその著『人間
の本質』でNATOの政治的一翼によって採用された基本理念を構築
している。次に引用するのは、ペッチェイ博士著『人間の本質』から
の抜粋である。
 「最初の千年王国がキリスト教世界に接近して以来はじめて、大勢
の人びとが、人類共通の運命を完全に変えてしまうような何かが近く
起こるのではないかという懸念を抱いている……人間はいかにして
現代人になるかを知らない……人間は悪い竜という物語を考えだした
。けれども、もしそんなものがいるとすれば、悪い竜とは人間そのも
のである。ここには人類の逆説がある。人間は、自分自身の驚くべき
能力と達成のワナ、流砂のごときワナにはまった――力を用いれば用
いるほど、力を必要とする」
 「われわれは、現代の広範な病的な状態と人類システム全体との不
適合とは、移りゆく環境や周期的危機と同じものと考えるのがいかに
愚かであるか、繰り返し説くことに決して飽きてはならない。人間が
新しいテクノロジーというパンドラの箱を開いたので、人類の増殖、
成長への執着、エネルギー危機、資源の枯渇、環境悪化、核の愚行、
その他の悩みをコントロールできずに悩んできた」
 これはずっとあとに、同じローマクラブが産業の発展をナマクラに
し、押し戻すために、おびただしく増殖したニセの「環境保護論者」
と軌を一にしたプログラムである。
 大まかに言えば、ローマクラブが前もって立案した対抗計画は、
麻薬、ロック、セックス、快楽主義、悪魔主義、黒魔術ならびに「環
境保護主義」のような対抗文化運動と抱き合わせになって、アメリカ
での「脱工業化」思想のでっち上げと普及を覆い隠そうとした。事実
、タヴィストック研究所、スタンフォード研究所、社会問題研究所、
つまり事実上は応用社会精神医学の広汎な研究機関の全体が、ローマ
クラブに代表を擁するか、さもなければ『水瓶座の陰謀』を適用しよ
うとするNATOの計画においてアドバイザーとして活躍し、指導的
役割を果たしたのである。
 新世界秩序という名称は、一九九一年の湾岸戦争の結果として盛ん
に用いられるようになったようである。それに対して統一世界政府と
いう言葉は、一世紀も前から知られていた。新世界秩序は新しい名称
ではないが、長らくは「未来発展」ということを偽装する言い方であ
った。新世界秩序は「過去と現在」に関するものである。私が以前か
ら統一世界政府と呼ぶべきであると主張したのは、そのためである。
 アウレリオ・ペッチェィは、かつて彼の親しい友人アレクサンダー
・ヘイグに、自分は「アダム・ワイスハウプト[イルミナティの創立
者]の生まれ変わり」のような気がする、と打ち明けた。ペッチェイ
には多分に今日のイルミナティを組織し統制するワイスハウプトのよ
うな輝かしい才能があり、ペッチェイNATOに対する統制と地球規
模の政策にはそれが示されている。ペッチェイは三十年にわたり大西
洋協会経済会議議長をつとめ、ジョヴァンニ・アニェリがオーナーの
フィアット自動車会社の代表取締役であった。
 アニェリは、同姓の古代イタリアの「黒い貴族」の一員であり、
三百人委員会のもっとも重要なメンバーである。彼はソ連の発展プロ
ジェクトに指導的な役割を果たした。
 ローマクラブは英・米の金融資本家とヨーロッパの黒い貴族、とり
わけロンドン、ベニス、ジェノヴァの「黒い貴族」とが合体した陰謀
統率機関である。
世界コントロールに有効な鍵は、苛酷な景気後退と究極の大不況とを
つくりだし管理する彼らの能力である。三百人委員会は、世界中に未
来の「生活保護」受給者となる人民大衆を大量につくりだす原理的な
方法として、やがてやってくる重大事のために人民大衆の抵抗力を弱
める技術として、不況をともなう地球規模の社会変動に期待をかけて
いるのである。
 委員会は、人類に影響を与える重大な決定を下す際に、ポーランド
の貴族フェリックス・ジェルジンスキーの哲学を基礎にしたように見
受けられる。ジェルジンスキーは、人類を、家畜の水準よりも少しま
しな程度と見なしたのである。英国の情報部員シドニー・レイリー(
レイリーはボルシェヴィキ革命の草創時代にジェルジンスキーを操っ
ていた)の親友として、彼はしばしば酒を飲むあいだはレイリーに
秘密を打ち明けた。ジェルジンスキーはもちろん赤色テロル機関を走
らせる獣であった。彼はあるとき、二人の酒宴の折、レイリーに次の
ように語ったことがある。
 「人間なんてロクなものじゃない。飢えたときの人間を見るといい
。仲間の死体を食べてでも自分は生きのびようとするのだ。人間は
自分が生き残ることしか考えないものだ。大事なのは、ここだ。スピ
ノザなんてやつはてんでガラクタにすぎん」
 ローマクラブは彼ら自身の秘密情報機関をもっているが、デイヴィ
ッド・ロックフェラーのインターポール(INTERPOL)を一時
的に借用することもある。アメリカの各情報機関はいずれもローマク
ラブの情報機関と密接に協力する。KGBやモサドとも協力する。
その手が及ばなかった唯一の情報機関は、東ドイツの国家治安警察
STASSIであった。ローマクラブはまた高度に組織された政治的
・経済的情報機関ももっている。レーガン大統領に、三百人委員会の
重要メンバーでもあるポール・ボルカーの職務を解かないように勧告
したのは、彼らであった。大統領候補レーガンは、自分が選ばれたら
すぐにもボルカーを解任するとはっきり公約していたにもかかわらず
、ボルカーは連邦準備制度理事会議長に留任した。

ケネディ大統領が拒否した「危機管理」計画
 ローマクラブは、キューバ・ミサイル危機にも重要な役割を演じた
のち、「危機管理」(FEMAの前触れ)計画をケネディ大統領に売
りつけようとした。ダヴィストック研究所の科学者たちがその内容を
説明しに大統領に直接会いに行ったが、大統領は彼らが提示した案を
拒否した。
 ケネディが暗殺されたその年に、タヴィストックはNASAと会談
すべくワシントンに戻った。今回は会談は順調に進んだ。タヴィスト
ックはアメリカの世論を来るべき宇宙計画に引きつける効果を高く
評価したNASAと契約を結んだ。
 この契約内容は、スタンフォード研究所とランド・コーポレーショ
ンに委託された。タヴィストック、スタンフォード、ランドで作製さ
れた膨大な資料は、現在にいたるまで陽の目を見ることはなく封印さ
れたままである。私が情報を得ようとして接触した上院監視委員会と
いくつかの小委員会は「そんな話は聞いたことがない」という返事か
、私が求めていることを発見する手がかりすらも与えないかであった
。これが、三百人委員会の力と威信である。
 一九六六年、私は情報機関の同僚から、政府が関心を抱いていると
いううわさのある評論を書いたアナトール・ラパポート博士に接触す
るように教えられた。それはNASAの宇宙計画を止めさせようとい
う意図のもとに書かれた論文だった。まったく幸いにもラパポートは
その論文の写しを私に送ってくれたが、基本的にはNASAの宇宙計
画は反古にすべきであると主張していた。
 NASAはあまりにも数多くの科学者を抱えこみ、アメリカに悪影
響をもたらしている。なぜならそれらの科学者たちは、しきりと学校
や大学で、構造や発射にいたるまでいかにロケットが動くかを講義し
たがっている。ラパポートは、このようなことは、宇宙科学者になり
たがる大人をつくりだすだけであり、紀元二〇〇〇年までには誰も
その必要を感じない「過剰な」人員となるだけだと断言している。
 NASAに関するラパポートの論文がローマクラブを通じて
NATOに提出されるや否や、三百人委員会は直ちに行動を起こした
。反NASA行動に対する緊急会議を要求したNATO=ローマクラ
ブのメンバーは、ハーランド・クリーヴランド、ジョセフ・スレイタ
ー、クレイボーン・K・ペル、ウォルター・J・レヴィ、ジョージ・
マッギー、ウィリアム・ワッツ、ロバート・シュトラウス−ヒュープ
(NATO米大使)とドナルド・レッシュであった。一九六七年五月
、会議は北大西洋同盟科学技術委員会と外交政策研究所の主催のもと
に開催された。それは「大西洋間の不均衡と協力についての会議」と
称され、フランスのドーヴィユにあるエリザベス女王所有の宮殿のよ
うな建物で開催された。
 ドーヴィユ会議の基本的な目的と意向は、合衆国の技術と産業の進
歩にとどめを刺すことにあった。この会議の結果、二冊の本が出版さ
れた。ひとつは、ズビグニュー・ブレジンスキーの『テクノトロニッ
ク時代』で、もうひとつは、同会議議長のアウレリオ・ペッチェイが
書いた『深まりゆく亀裂』である。ペッチェイは全面的にブレジンス
キーに同意したが、さらに「統一世界政府によって支配されない」
世界は将来、混沌状態におちいるだろうと付け加えた。この点に関し
てペッチェイは、ソ連は「NATOに収束」しなければならないと
主張した。
 ここにいう収束とは、アメリカとともに統一世界政府のパートナー
となることを意味する。米ソは、将来の「危機管理と地球規模の計画
」に責任をもつようになるというのである。

アフリカ諸国を死にいたらしめる計画
 ローマクラブの最初の「地球規模計画」は初期の三百人委員会の一
員であったマサチューセッツ工科大学(MIT)によって進行した。
ジェイ・フォレスターとデニス・メドウズがプロジェクトを管理した。
 彼らは何を報告したのか。基本的にはマルサスとフォン・ハイエク
が説いたところと変わりなく、全員に行きわたるだけの自然資源がな
いという話のむし返しである。フォレスター−メドウズ報告は、完全
な欺瞞である。この報告に欠陥しているのは、人間には証明ずみの
創造の天性があって、十中八九、「不足」の問題を徐々に解決してい
くであろうという点である。
 三百人委員会が不倶戴天の敵としている核融合エネルギーは、自然
資源をつくりだすことができるはずである。核融合トーチは一立方メ
ートルの通常の岩石から、たとえば四年間の需要をみたすほどのアル
ミニウムを取りだすことができるはずである。
 ペッチェイは民族国家に対して、彼らがいかに人類の進歩を妨げて
いるかと倦まずたゆまず説いた。彼は「集団責任」を要求した。民族
主義は人間にとってのガンであるというのが、ペッチェイのいくつか
の演説の重要なテーマであった。彼の親しい友人であるエルヴィン・
ラズロが一九七七年に出版した、ローマクラブ研究の里程標である『
人類の到達目標』という本にも類似のことが述べられている。これら
の歳月のあいだキッシンジャーは、非公式の仲介人としてRIIAに
代わってモスクワと接触していた。『グローバルモデリング』紙には
、定期的にキッシンジャーのクレムリンの友人たちが参加している。
 第三世界に関しては、ローマクラブのハーランド・クリーヴランド
が最高に冷笑的な報告を出した。その報告を出したとき、クリーヴラ
ンドはNATOに派遣されたアメリカ大使であった。本質的にはその
報告では、第三世界諸国は人口削減を決定すべきであると説いている。
 ペッチェイはのちに(クリーヴランド報告を基礎として)次のよう
に述べている。
 「三大国とブロックの混乱した政策で打撃を受け、あちこちつぎは
ぎしたような形で事態が収拾され、現存する国際経済秩序は明らかに
瓦解している……優先順位を決める必要――誰を助けるべきかを決め
る――を展望すると、実に恐るべきものとなる。だが、いたましいこ
とではあるが、このように事態が進むとすれば、このような決定を下
す権利は、世界の飢餓と生命に大きな影響力をもつことであるから、
少数の国のみに委ねざるを得ない」
 ここには、サブ−サハラ諸国に明白に見られたように、アフリカ諸
国を死にいたらしめる委員会の政策が見られる。これは最悪の意味で
の冷笑である。なぜならば、三百人委員会はすでにアフリカ自身に
生死を決定させることを放棄させたことを、ペッチェイは知っていた
のである。彼はいち早く『成長の限界』でそれを明示していた。
 ペッチェイは完全に工業と農業の発展を廃棄し、世界が統一世界政
府のひとつの共同の会議、少なくともローマクラブとそのNATO参
加国の下に置かれることを要求した。自然資源は、地球計画の援助の
もとで配分されなければならなかった。各国はローマクラブの管理支
配を受けいれるか、密林の法則にしたがって生き残り、生き残るべく
闘わなければならなかったのである。
 その最初の「テストケース」が、RIIAのためにメドウズとジェ
イ・フォレスターが、一九七三年に立案したアラブ・イスラエル戦争
だった。これは、石油のような自然資源を将来、世界計画者の管理下
に置くこと、すなわちそれは三百人委員会の管理下に置くことを意味
していた。
 タヴィストック研究所がマクジョージ・バンディ、ホーマー・パー
ルムッター、ならびにアレクサンダー・キング博士も招待しペッチェ
イとの協議を召集した。ロンドンからペッチェイがホワイトハウスに
やってきた。そこで彼は大統領や高官と合い、次いで国務長官、国務
省情報機関、政策立案会議と会談すべく国務省におもむいた。かくし
て、そもそもの最初からアメリカ政府はこの国に対して行なわれる
三百人委員会の計画を知っていたのである。
 このことは、「なぜわが国の政府は、ローマクラブが合衆国のなか
で行なう破壊活動を許したのか」という、よくもちだされる質問の答
えとなるはずである。
 ボルカーの経済金融政策は、三百人委員会のメンバーで英国の大蔵
大臣のサー・ジェフリー・ホウのそれの反映であった。このことは、
一八一二戦争からはじまって三百人委員会のメンバーで英国の大蔵大
臣のサー・ジェフリー・ホウのそれの反映であった。このことは、
一八一二年戦争からはじまって三百人委員会の政策を通じて、いかに
英国がアメリカをコントロールしているかを描いて見せてくれる。

二十一カ条の最終目標
 イルミナティ、風を征服するモリア、ディオニソス教団、イシス教
団、カタリ派、ボゴミール派の後継者である秘密のエリートグループ
の最終目標は何か。
 自らもまたオリンピアンズと呼ぶこのグループ(彼らは真実自分た
ちは伝説のオリンポスの神々と同等の力を備えていると信じ、神とあ
がめるルシファーを、われわれの真実の神以上の位置に置いている)
は、神聖なる権利によって次のことを完遂することが絶対の使命と信
じている。
 (1)教会と金融システムを彼らの管理下に置いた統一世界政府=
新世界秩序。統一世界政府が一九二〇年代、三〇年代に「教会」を興
しはじめたことを知る人は多くない。彼らは人類には本能的に宗教信
仰の必要があることを認識した。そこで彼らは、自分たちが望む方向
へ信仰のチャンネルを切り替えさせるために「教会」を興したのであ
る。
 (2)すべての民族性と民族的な誇りを徹底的に破壊する。
 (3)彼らが編みだした前記のものを別として、宗教、とくにキリ
スト教を破壊する。
 (4)マインド・コントロールや、ブレジンスキーが「テクノトロ
ニクス」と呼んだ人間に似たロボット、フェリックス・ジェルジンス
キーの子どもが遊ぶように殺しを行なう「赤色テロル」などの手段を
通じて、個々人をコントロールする。
 (5)いわゆる「脱工業化ゼロ成長社会」において、産業と電力を
生みだす核の生産を終焉させる。例外はコンピューターとサービス産
業である。アメリカ合衆国の産業はメキシコのような奴隷労働が豊富
な国々に輸出される。
 (6)麻薬とポルノグラフィの合法化。
 (7)大都市の人口削減は、カンボジアではポル・ポト政権によっ
て実現された。ポル・ポトの人間絶滅作戦と同じことが、合衆国では
ローマクラブの研究調査機関のひとつによって実行に移されるだろう
ということに注意する必要がある。
 (8)三百人委員会が価値ありと判断した以外のすべての科学を抑
圧する。
とくに標的とされるのは平和利用の核エネルギーである。とりわけ
三百人委員会とその手先の新聞が憎悪を叩きつけるのは、核融合実験
である。核融合トーチの開発は、三百人委員会の「限りある自然資源
」という見解を窓の外へ吹き飛ばすであろう。
 適切に用いられた核融合トーチは、非常にありふれた物質あるいは
利用されていない天然資源から無限にエネルギーを取りだすであろう
。核融合トーチの用い方は無数にあり、一般にはまだ知られていない
利用法で人類に益するであろう。
 (9)先進国の限定戦争という手段、または第三世界諸国の飢餓と
疾病という手段によって紀元二〇〇〇年までに実行される三十億人の
「ムダ飯食い」と呼ばれる人びとの死。三百人委員会はサイラス・ヴ
ァンスに、このような大殺戮をもたらす最上の方法について報告させ
ている。この論文は『グローバル2000報告』という題で出版され
、合衆国政府を代表してカーター大統領がこれに賛成し、国務長官
エドウィン・マスキーが承認している。『グローバル2000報告』
にそって、合衆国は二〇五〇年までに人口を一億人まで減らすはずで
ある。
 (10)大量に失業者をつくりだして、国民の士気を阻喪させ、
労働階級の労働者を混乱させる。ローマクラブが採用した脱工業化
ゼロ成長政策により仕事が縮小される結果、士気阻喪させられた労働
者たちは、アルコールと麻薬に走るだろう。わが国の若者たちはロッ
ク・ミュージックと麻薬で現状に対して反抗しようとするだろう。
そして、このような破壊は家族単位に及ぶだろう。
 この視点から三百人委員会はタヴィストック研究所に、いかにして
このような状態をつくりだすのかの詳細な計画案を用意させている。
タヴィストックはウィリス・ハーモン教授指導のもとにスタンフォー
ド研究所をこの作業に当たらせた。この事業はのちに『水瓶座の陰謀
』として知られるようになった。
 (11)次から次へと危機をつくりだしては、そのような危機を「
操作」し、あらゆる地域の人びとに自分で自分の運命を決定できない
ようにさせる。
こうすることによって、あまりにも多くの選択肢に人は嫌気がさし、
巨大な規模で無関心が広がるという結果を生じさせる。
 合衆国の場合には危機管理の部局がすでに設けられている。その名
を連邦緊急管理庁(FEMA)と呼ぶ。私はこの部局の存在を
一九八〇年に明らかにした。FEMAについては、あとの章でさらに
述べる。
 (12)新しいカルトを導入し、不潔で退廃的なミック・ジャガー
の「ローリング・ストーンズ」(ヨーロッパの黒い貴族たちに非常に
気に入られたストリート・ギャング・グループ)や「ザ・ビートルズ
」にはじまるタヴィストック研究所がつくりだしたすべてのロック「
ミュージック」ギャングを含む、すでに活動している者たちを煽動す
る。
 (13)イギリス東インド会社の奉仕人ダービーがはじめたキリス
ト教原理主義のカルトを引き続き奨励する。原理主義は、ユダヤ人こ
そ「神に選ばれた民」であると説くことを通じて、また、キリスト教
助成という宗教上の理由によりかなりの金額を寄付させることによっ
て、シオニスト国家イスラエルを間違って強化することになるだろう。
 (14)ムスリム同胞団、イスラム原理主義、シーク教徒のような
宗教的カルトを拡大強化し、ジム・ジョーンズの体験と「サムの息子
」型の殺人を実行する。とくに、故アヤトラ・ホメイニが通称MI6
として知られる英国軍事情報部第6課の傀儡であることは、私が
一九八六年に出版した『何が真にイランで起こったか』で述べたこと
である。
 (15)存在する全宗教、とくにキリスト教を徐々に弱体化させる
ために、世界中に「宗教的解放」の思想を宣布する。これは「イエズ
ス会の解放の神学」にはじまった。この思想はニカラグアを支配して
いたソモサ一族を失墜させ、現在ではエルサルバドルを滅亡させ、
コスタリカとホンジュラスを二十五年間にわたる内戦に引きずりこん
だ。
 いわゆる解放神学説の活動的な実例は、共産主義志向のマリー・ク
ノール伝道団である。近年、広範なメディアの注意をひいた、エルサ
ルバドルで発生したマリー・クノールの四人の尼僧による殺人事件が
このことを証明する。
 四人の尼僧は共産主義者で破壊分子であり、彼らの活動はエルサル
バドル政府の記録に残されている。合衆国の新聞やニュースメディア
は、エルサルバドル政府が所有する膨大な記録、マリー・クノール伝
道団の尼僧が国内で行なっていたことを証明する記録を、一行たりと
も報道することを拒絶した。マリー・クノールは多くの国々で活動し
、ローデシア、モザンビーク、アンゴラ、南アフリカへ共産主義を持
ちこむうえで大きな役割を果たした。
 (16)世界経済の全面的崩壊の原因をつくり、政治の全面的混乱
を引き起こす。
 (17)合衆国の内政外政をコントロールする。
 (18)国連(UN)、国際通貨基金(IMF)国際決済銀行
(BIS)、国際司法裁判所などの超国家的組織に、可能なかぎり
全面的な支援を与える。
 (19)すべての政府を破壊し、政府によって代表される国民の侵
すべからざる高潔さを内部から崩壊させるべく活動する。
 (20)世界にまたがるテロリスト機構を組織し、テロリスト活動
が行なわれた場合はいつでもテロリストと交渉する。
 モロ首相とドジャー准将が誘拐されたとき、イタリア政府とアメリ
カ政府に赤い旅団と交渉するように説得したのはベッティーノ・クラ
クシであったことを想起せよ。
 余談であるが、ドジャー准将は、彼に起こったことを決して口外し
ないように口封じされていた。もし彼が喋るようなことにでもなれば
、キッシンジャーがアルド・モロ、アリ・ブット、ジア・ウル・ハク
将軍に執行したような「恐ろしい実例」となったことは疑いない。
 (21)完膚なきまでに破壊する目的をもって、アメリカにおける
教育をコントロールする。
 これらの目標の多くは、私が一九六九年にはじめて明らかにしたも
のであるが、その後、達成されてきたし、十分に達成されつつある。

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