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僕から言わせれば、石原氏はすでに老害の境地にいる人のように思えます。
未来に対する何のビジョンも持ち合わせてはいません。また、後裔を幸福にする智慧さえ持ち合わせていません。
当面の危険からいえば、彼がかなりの親台湾であることも考える必要があると思います。
日本はバブルが崩壊したあとも、なお精神的なバブルにありはしないでしょうか。
胴元(アメリカ)が勝つに決まっているバクチをやっていて、よいのでしょうか。
戦前、日本は小国主義をバカにし、泥沼に入りこみました。
「大国」でなくてもよいではないですか。国が平和で、市民の暮らしが平凡なら、それ以上何を望むのでしょうか?
「大国」などと言われ、あちこちからつつかれるより、平和な小国というビジョンを世界に示し、胴元などに肩透かしをくらわすことが、自他ともに最もよい選択になるのでは…。
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中国脅威論の本質 浅井基文
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/file40.htm
*この文章は、ある雑誌に寄稿したものです。中国脅威論をどう見るかについては、新ガイドライン安保との関連 でも正確につかまえておく必要があると思います。(2002年8月27日記)
中国脅威論には長い歴史がある。特に中国が社会主義体制をとってからは、常に中国を脅威と見なす考え方が支 配してきた。要するに、資本主義と社会主義は両立せず、敵対関係に立つとするイデオロギー的な考え方だ。今日 でもそういう考え方は存在している。
しかし近年になって台頭してきた中国脅威論は、驚異的な成長を続ける中国経済の実体を踏まえたものであり、 また、中国の対外政策、特に台湾に対する政策に着目したものであることに大きな特徴を持つ。また、そういう脅 威論を下支えするものとして、1982年の歴史教科書事件、1985年の中曽根首相(当時)の靖国神社参拝に よって表面化した歴史認識問題、1989年の天安門事件以来の人権問題、1995年の日本の敗戦記念日(中国 からすれば抗日戦争勝利記念日)をめぐる齟齬など、数え上げればきりがないほどの日中間の様々な事件の発生が ある。
日本にとっての中国は、明治維新までは畏怖の対象であり、日清戦争以後は侮蔑の対象だった。そういう複雑な 対中感情が戦後も明確に清算されないまま、上記の諸事件などによって時に増幅され、時には対中感情の悪化をも たらす材料として働いてきたのだ。残念ながら、対中感情を好ましい方向に変化させるような材料は、この数十年 間皆無に近かったことも記憶されるべきだろう。
日中関係が国際的に重要な位置を占めるものでないならば、日本の中国脅威論もそれほど意に介する必要はない のかもしれなし。しかしながら、日中両国は今や国際関係の動向を左右するだけの実力と影響力を備えるに至って いる。日中関係は単に2国間関係として割り切るわけにはいかない重要性をもっているのだ。それだけに、日本国 内で中国脅威論が増幅されることは重大な国際的な意味合いをもたずにはすまない。
日中関係を左右する問題は、大きくいって3つある。歴史認識の問題、台湾問題、そして日米安保の問題だ。し かもそれらの3つの問題は相互に密接な関連性をもっている。
歴史認識の問題は、日本が中国大陸を数十年にわたって侵略した過去をどのように清算するかという問題だ。し かしハッキリしていることは、日本には1972年の日中共同声明で過去については謝罪したと見なし、それに よって清算は終わったと考える向きが多い。だが中国からすれば、過去の歴史を清算するということは、当然のこ ととして将来に向かってそういう過去を繰り返さないという決意を常に新たにするという意味を含んでいる。この ような日中両国の歴史認識の懸隔が続く限り、日中関係はいつまでたっても盤石な礎を築くことはできないだろ う。
台湾問題もまた歴史にかかわる問題である。1895年の日清戦争の結果として、日本は台湾を中国から割譲せ しめ、これを植民地とした。ちなみに日本敗戦の1945年は台湾植民地化からちょうど50年である。中国に とって抗日戦争勝利の記念すべき年は常に台湾を割譲せしめられた屈辱の年を想起させる。
日本は敗戦後、アメリカの圧力もあり、台湾に逃れた蒋介石政権を中国の正統政府と見なし、これと国交関係を 結んだ。その結果1972年に至るまで日本は大陸中国との敵対関係を続けることになった。この異常な関係に終 止符を打った1972年の日中国交正常化は、しかし日本と台湾の関係をキッパリと清算するものではなかった。 中国側の妥協もあり、日本は台湾との非政府間関係を維持することについて中国側の了承を取り付け、その後の 事実が示すように、日台実務関係はその後も進展した。問題は、日本国内に強力な親台ロビーを生み、彼らが台湾 独立を支持する勢力の基盤となったことだ。しかもこれら親台ロビーを構成する人々は、日本の中国に対する侵略 責任を否定する人々と重なっている。 さらに日中関係を決定的に複雑にしているのが日米安保条約である。アメリカは、朝鮮戦争勃発後、台湾の領土 的帰属は決まっていないとするいわゆる「未決論」を展開し、この議論を根拠に台湾問題を国際化した。この未決 論の立場は、1972年の上海コミュニケそして1989年の米中国交正常化コミュニケ(及び台湾関係法)にお いて維持され、アメリカが台湾問題に軍事干渉するための法的根拠とされている。 以上の3つの問題が、すでに述べた過去の日中関係をめぐる複雑な状況と結びついて、現在の中国脅威論があ る。アメリカは台湾を手放す気持ちはない。台湾をめぐって中国と戦争する可能性があることを念頭において軍事 戦略を考えている。中国侵略の責任を直視しようとしない日本の台湾ロビーは、アメリカと共通の立場に立つ。 そういう問題を集中的に体現しているのが新ガイドラインに基づく日米軍事同盟の変質である。新ガイドライン にいう「周辺事態」には当然台湾海峡の危機が含まれる。台湾が独立を宣言するなどして中台関係が緊迫すれば、 米中は軍事的に衝突せざるを得ない。周辺事態法に基づいて日本はアメリカに協力する。事態がエスカレートすれ ば、中国による在日米軍(さらにはアメリカに協力する日本)に対するミサイル報復という事態も考えられる。そ れは正に武力攻撃事態法が考える武力攻撃にほかならない。 中国脅威論を盛んに鼓吹する人々は、歴史問題を無視し、台湾独立を支持し、そのためにはアメリカに協力して 中国と軍事的に事を構えることを進んで支持する人々と重なっている。私たちに求められていることは、今日の中 国脅威論が単なる昔ながらのイデオロギー的産物であるには留まらず、台湾を自分たちの影響下におくために、米 中日軍事激突に公然とコミットしようとしている人々であることを認識し、その危険な考え方が実現することを万 難を排して取り除くことである。
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中台戦争の可能性 浅井基文
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/file39.htm
2002年7月12日にアメリカの国防総省は、中国の軍事力に関する年次報告を議会に提出した。この報告は、5つ の部分から構成されている。5つの部分の構成は、中国の軍事力に関する知識のギャップ、中国の全体的、安全保 障的及び軍事的戦略、中国の軍事戦略及び軍事力の発展、中国と全ソ連との関係そして台湾海峡における安全保障 状況、となっている。
ここでは特に台湾海峡における安全保障状況に関する部分、とくに中台戦争の可能性の報告の内容について紹介 する。アメリカが中台戦争の可能性を本気で考えていること、そうであるとき、周辺事態法・有事法制を抱え込む 日本が戦争に巻き込まれる可能性が大きいことがお分かりいただけるはずである。
(2002年8月26日)
1.全般的な評価
報告が示す中国の台湾に対するアプローチに関する評価は至極常識的なもので、特に目をむくような内容はな い。すなわちそのアプローチは政治、経済、文化及び軍事という多面的なものであるとする。ただし報告は、中国 が意欲的な軍事の現代化を進めており、そのことは台湾問題の平和的解決という長年にわたる政策に影を落として いると指摘している。 また中国は、台湾が独立を公式に宣言するときなどにも武力行使はしないということを拒否していることを併せ て考えると、統一達成のために武力行使を考える傾向が増しているのではないかという見方を付け加えている。し かしその場合でも、中国側に有利な条件で台湾側に交渉を強制し、第三者の介入を排除するのに十分な迅速さで作 戦を実施することに主要な目的があると指摘する。
この最後の部分は、名前は挙げていないが、アメリカが台湾を支援するために介入する時間的余裕を与えないこ とを中国側が考えていると、アメリカが見ていることを表していることは明らかである。報告はまた、台湾の陳水 扁が台湾独立を考えていないと述べているが、中国側は、台湾における多くの政治的な傾向が台湾独立に向いてい ると認識しているという判断している。
2.中台戦争をめぐる評価
<中国が圧力をかける政治的経済的選択肢> 報告は、中国が政治・外交、経済、軍事を含めた様々な手段を展開すると見ている。中国側の圧力は、台湾の政 策決定者たちが世論によって影響を受けることを狙っている、とするのが報告の判断である。 報告は、現在の台湾の世論が圧倒的に現状維持を支持していると判断している。報告はまた、中国の指導者が台 湾経済が両岸関係に大きく左右されるということを認識していると判断している。 以上の報告の判断は、常識的にもうなずけるものである。報告は、台湾の世論が圧倒的に現状維持を支持してい ると指摘しているが、このことは、間接的ではあれ、アメリカ自身の意向を反映しているものと見ることもでき る。
<中国の軍事的選択肢>
報告によれば、中国の攻撃能力は年々増大しており、台湾を脅迫し、また、現実に攻撃する有効な選択肢が増え ていると見ている。これは、中国のミサイル能力をはじめとする軍の現代化が一定の成果を生んでいることを認め たものである。 中国が軍事力を行使する場合は、先にも述べたように、中国に有利な条件で交渉による解決を強いるものだとい うのが報告の判断だ。具体的には、台湾の国民的な抵抗の意思を急速に崩すことにより、アメリカが介入する余地 を与えないようにするものであろうとする。報告は明示しないが、このような電撃的な作戦による中国の台湾に対 する攻撃をアメリカがおそれていることを十分にうかがうことができる。 ただし、中国が具体的にどういう強圧手段を用いるかは不明であると報告は認めている。しかしいずれにして も、そういう強圧手段は、突然軍事力を行使することによって台湾をやっつけるというものになるだろうとする。 そして中国は、軍事的圧力を強め、台湾が中国に有利な政策を採用せざるを得ないようにするだろうと見ている。 その際中国は、台湾側の軍事的抵抗力を損なうことにより、台湾側として抵抗しても無駄だと考えるように追い 込むだろうと、報告は指摘している。強圧的選択肢の中には、情報操作、空襲、ミサイル攻撃、海軍による封鎖な どが考えられる。報告は、中国は政治的降伏を狙って警告なしに、水陸両用または空挺部隊を使っての限られた主 要拠点占領作戦という手段に訴えるかもしれない、という可能性も指摘する。なお報告は、強圧的な軍事的選択肢 を行使する能力は、台湾だけではなく、フィリピンや日本のような潜在的な敵に対しても脅威になりうるとしてい る。
そういう強圧的手段が失敗した場合には、報告は、中国が台湾全土を占領することを試みるかもしれないと判断 している。しかし、そういう作戦には海空にわたる運搬手段が必要になるので、成功の保証はないとする。報告 は、この先10年間は中国はそうした高度の作戦を行うことは困難だろうと判断している。
<強圧に対する台湾の脆弱性>
報告は、台湾が中国の軍事的な強圧に対してどれほど耐えられるかはいくつかの要素に依存しているとしてい る。その中でももっとも重要な要素は、中国が押しつける要求の内容如何だろうとする。もしも中国の要求内容が 限定されたものであれば、台湾が交渉に応じなければならないと考える程度は低いものになるだろう、と報告は指 摘する。そのほかに考えるべき要素として報告は、台湾及び中国の軍事力、政治力及び世論の動向が重要だろうと する。しかし報告が、中国の台湾攻略の成否を決める上での最終的かつもっとも重要な要素とするのは、台湾が国 際的なかんずくアメリカの支持をどの程度取り付けられるかだとする。
この点で、報告の姿勢はきわめて明確である。つまり、中国が台湾に自己の要求を押しつけられるか否かの成否 を握る決定的要素はアメリカであることを明確に承認しているからである。
<中国の軍事力行使を制約する要素>
中国が台湾に対して軍事力を行使する際には内外の制約を考えなければならない。報告は、中国指導部がその際 にもっとも重視する要素は、所期の政治的目標を達成するために必要な能力を中国が有しているかどうかという点 にあるだろうとする。しかもこの場合、中国は、台湾に対する軍事能力という点だけではなく、台湾を防衛しよう とする外部の介入を阻止する能力という問題も考えることになるだろう、と報告は指摘する。ここでも再びアメリ カの介入如何が事態の結果を左右するという判断をアメリカがもっていることが明らかである。
報告はまた、中国としては台湾との戦争がもたらす政治的及び経済的なコストも考えるし、台湾に対する武力行 使が中国の地域及び世界における利益を損なうことも考えるだろうと指摘している。これは当然なことだろう。
<外部の介入に対する対応>
報告は、中国が台湾との戦争は不可避だと考える場合には、紛争の地理的な範囲を局限する戦略を採用しようと するだろうと見ている。それだけではなく、中国の指導者は、外部勢力が台湾防衛に介入し、また、自らの経済的 利益が妨げられる前に軍事的な解決を達成するべく、十分な軍事力とスピードをもって物事を実行するだろう、と 報告は見ている。ここでも再び報告は、中国の台湾に対する作戦が意外性と迅速性を中心とするものとなることに 対する警戒感を隠していない。 報告の判断によれば、中国の戦略は、台湾が軍事力を行使しないようにとする宣伝と、この戦争が内戦であり国 際的な仲介や介入の対象ではないとする国際的な努力も含むだろう。この点に関する報告の指摘もうなずけるもの がある。台湾問題は内政問題だとする中国側の主張は、台湾「領土未決」論を採るアメリカや日本をのぞけば、国 際的に少数派だからである。 報告はまた、アメリカという名指しこそは避けるものの、外部からの介入(アメリカ以外に考えられない)に対 しては、中国はその外国の戦略的な資産を人質にしたり、実際に攻撃したりすることによって、その外部の介入の 決意を鈍らせることに努めるだろう、という指摘を行っている。これは、日本にとっても看過できない重大な指摘 である。 アメリカと中国が台湾問題をめぐって戦争になる場合、それは正に「周辺事態」に相当するし、武力攻撃事態法 がいうところの「武力攻撃事態」(武力攻撃のおそれがある場合)にも相当する。報告が、中国は「外国の戦略的 な資産を人質」にする攻撃を行う事態を想定しているということは、中国が在日米軍基地を攻撃対象にする可能性 を確実に意味している。攻撃対象は在日米軍基地に限定される保証はない。アメリカ軍の対中軍事作戦に全面的に 協力する日本は、中国からすれば正に交戦国にほかならない。日本そのものが攻撃対象になる可能性があることを 報告は指摘しているに等しいのである。 なお報告は、中国は、相手側の優越性に対抗するために向上しつつある非対称的能力に頼ることになるだろう、 と指摘している。そしてきわめて具体的に、中国の雑誌の中には、アメリカの航空母艦の艦隊が行う台湾を支持す る作戦を複雑にするためにその非対称的な能力(注:ミサイル攻撃)を使う意図をにおわせるものがあることを指 摘するのである。報告は指摘しないが、ここまで戦闘が拡大するとき、それは正に米中全面戦争にほかならない。 そのただ中に、周辺事態法及び武力攻撃事態法で対米全面協力を約束する日本が巻き込まれていくということなのだ。
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