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全国の温泉やスーパー銭湯など237カ所を調べたら、6割以上からアメーバが見つかったという報告書を、国立感染症研究所などがまとめた。アメーバは重い肺炎を起こすレジオネラ菌の温床になり、まれに脳炎の原因になって死亡することもある。お湯の循環装置などに張り付いていることが多いとみられ、感染研は、消毒や清掃の徹底が必要と指摘している。
感染研と全国14の衛生研究所が昨秋から237カ所を対象に、内風呂、露天風呂、ジャグジーなどそれぞれ2〜6設備の湯を調べた。その結果64%の151カ所でアメーバが見つかったという。
アメーバは体長100分の3ミリ前後の単細胞生物で、淡水、海水、土壌などに広くいる。温水で増えやすい種類にはレジオネラ菌を増殖させたり人への病原性があったりするものが多いという。
国内では、感染経路は不明だが、96年以降アメーバによる脳炎で少なくとも3件の死亡例が報告されている。報告書は、診断が難しいため感染したケースはもっと多い可能性があるとしている。
厚生労働省は「循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル」をつくり、消毒や清掃の徹底を指示している。だが、マニュアルと違った消毒をしていた宮崎県の温泉でレジオネラ菌の集団感染が起きるなどの事件が続いている。
感染研の遠藤卓郎・原生動物室長は「厚労省のマニュアルが正しく理解されて守られていれば、アメーバも抑えられ、ひいてはレジオネラ問題も起きないだろう。お湯のチェックや清掃といった管理体制を施設に尋ねるなど、利用者も、お湯の質にもっと関心を持てば施設側に改善を迫る力になる」と話している。
(07:49)