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エイズ発症を予防するワクチン開発を進めてきた国立感染症研究所とタイの科学者
グループが、サルを使った動物実験に成功した。専門家の国際ミーティングでも、こ
のワクチンの安全性と有効性は認められ、人間に投与する臨床試験の実施が了承され
た。早ければ来年中にも、タイで試験を開始する。
世界各国でエイズワクチンの開発競争が行われているが、国内プロジェクトで臨床
試験への移行のめどがついたのは初めて。今回のワクチンは安価で製造も比較的簡単
なことから、実用化に成功すれば、世界に約4000万人と感染拡大が進むエイズの
予防に大きく寄与すると期待されている。
研究グループは、本多三男・エイズ研究センター第1研究グループ長を中心とした
同研究所などのメンバーとタイ側研究者の計約30人で構成。1992年から基礎研
究に取り組み、98年からは科学技術振興事業団(JST)のプロジェクトとして共
同研究を進めてきた。
開発中のワクチンは、結核予防に使われるBCGワクチンと、天然痘ワクチンの一
種「ワクシニアDIs」に、それぞれHIV(エイズウイルス)の遺伝子を組み込ん
だもの。広く使用実績のあるBCGや人間の体内で増殖しないDIsを使うことで、
安全性も高いという。
昨年春以降のサルを使った実験では、BCG、DIsの順に半年置いてワクチンを
投与した3頭にSIV(サルのHIV)とHIVを組み合わせたSHIVを接種した
ところ、3頭とも一時的にウイルス量が増加したが、その後、2頭は検出限界を下回
るレベルにまで低下した。残る1頭もエイズを発症しない程度の量を保った。ワクチ
ンを投与しない対照群や1種ずつを投与した群、投与の順序を変えた群は、いずれも
ウイルスを抑制できなかった。
研究グループは今年2月、WHO(世界保健機関)やCDC(米疾病対策センタ
ー)などのエイズワクチンの専門家をタイに招いて動物実験の成績について評価を求
めた結果、人間に実際にワクチンを接種する臨床試験の実施が妥当とする見解を得
た。
世界的にも、HIVのDNAの一部を使うなどの方法で、様々なエイズワクチン開
発のプロジェクトが進行している。約10グループがすでに臨床試験段階に入ってい
るが、今回のワクチンは「サルの実験では、現段階で最も有効とされるグループのワ
クチンと比べても、そん色のないデータが出ている」(山本直樹・エイズ研究センタ
ー長)という。
WHOで世界天然痘根絶対策本部長を務めた蟻田功・国際保健医療交流センター理
事長の話「本多ワクチンの特徴は、世界中で接種されているBCGを使用しているこ
と。安全性が高く世界に広めやすいという利点があり、期待できる。将来、製造段階
に入ることも視野に入れて、今から準備を進めるべきだ」
(5月28日03:01)
http://www.yomiuri.co.jp/04/20020528it01.htm