【No.235 (2002/04/01)】 アジア国際通信
http://jimbo.tanakanews.com/235.html
◆化学農薬と肥料を駆逐する天然物質
●台湾農村で吹き荒れる『龍捲風』旋風
台湾南部の農村で、「化学製品ではない人体に安全・土壌にも障害を起こさない」という100%天然の『龍捲風』という名の「肥料」が今、大きなブ ームを巻き起こしている。
昨年の春、ある農家が試験的にコメの栽培に『龍捲風』を使用したところ、 実りが早い上に収穫がおよそ30%増加したという。それだけではない。驚く べきことに、刈り取りが終わった田んぼから再び稲がニョキニョキと伸びてき て、ついに最初に収穫された量のおよそ60%にあたるコメが採れてしまった。
この評判は瞬く間に台湾農民の間に広まった。他の肥料や農薬は一切使う必要が無く、従来よりも作物が早く大きく成長することから、なによりもまず経 済効率が飛躍的に高まる。その上、「無農薬」ということで人体や環境への汚 染の心配が無いというのだから、農民が我先にこれを手に入れようとしたのは 自然の成り行きであった。
頻繁に台湾との間を行き来しているタイ最大級の某財閥の会長が、この評判 をキャッチしたのは間もなくのことであった。そして昨年の11月、会長はタ イ農務省に『龍捲風』を持ちこんだ。この時、筆者はバンコクにいて、タイ農務 省と財閥会長の会談内容をキャッチした。
タイの農産物は外貨を稼ぐ有力輸出商品である。だが、多くの輸入相手国から「大量の農薬使用」が問題視され、タイ政府にとって「農薬問題」は死活的 な喫緊の課題に浮上していた。
余談だが、一部ではすでに浮上している「中国産農産物の農薬問題」が、タ イに 続いてこれまで以上の国際的な厳しい批判キャンペーンにさらされる。
●天然微量元素が菌類や害虫を忌避させる
一般に「肥料」といえば、そこそこ重量のある紙の袋に詰められたものをイ メージするであろう。しかし『龍捲風』は、たった10cc入りの小さなプラ スチック容器で販売されている。
筆者の手元にその『龍捲風』がある。ラベルには「使用方法:16000倍水稀 釈」と書いてあり、中にはドロリとした茶褐色の濃縮液が入っている。
この濃縮液を水で稀釈して使用するわけだが、10cc全部を使った場合、 16万ccすなわち160リットルということになる。
手元にある台湾でのデータによると、主にコメや野菜、果樹木、お茶、花、 芝生などに使用しているのだが、1平方メートル当たり80ccから100cc、「病気の芝」など場合には最大で400ccを散布している。つまり、こんな小さな容器で充分な広さに散布することができるのだ。
余談だが、ワールドカップのために急造したスタジアムの多くが芝の生 育に多くの問題を抱えていると聞く。老婆心ながら、『龍捲風』を試してみ る価値があるのではないかと脳裏を過ぎった。
資料によると、「主成分」は「塩化マンガン、ホウ酸、カリウム、微量元素等」となっている。実は「肥料」とは世を忍ぶ仮の姿で、台湾政府から「肥料」として公式な認可(すでに取得済)を取り付けるために、本来は必要の無い塩化マンガンなどを加えているだけで、「微量元素」こそが『龍捲風』の核なのである。
従来型の農薬である殺虫剤や殺菌剤は、病害虫や有害菌を直接殺すことを 狙ったものだが、『龍捲風』は菌類や害虫を殺すのではなく、あくまでも栽培 作物に寄せ付けなければいいというコンセプトなのである。つまり、天然微 量元素が菌類や害虫を忌避させる性質を持っているのである。
さて、これまでのところ全ていいことずくめであるが、味の方はどうなの か?
今のところ台湾のデータしかないが、例えばブドウなどは「粒が大きく育 ち糖度が増す」という。そして、野菜は甘味があって美味しいという。
ある知人に『龍捲風』を紹介したところ、その知人が日本の某大手化粧品 会社の系列企業にそのデータを持ちこんだ。
その会社は、「屋上ガーデニング事業」を今後の重点テーマとしており、肥 料と虫除けが最大の難関になっていたのだという。『龍捲風』はそれを解決 するわけで、大きな利益をもたらすこの事業を一挙に推進することになりそ うである。
筆者は、知り合いの農家に実物を持ちこんで悪戯をしてみようと思ってい る。■
神保隆見 2002