(回答先: 花粉症について(免疫について知ろう) 投稿者 ROM潜 伊−HEXA号 日時 2002 年 3 月 24 日 16:21:15)
4. 即時型アレルギー反応のおこり方
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通常は無害な抗原がアトピー素因を持つ人の体内に侵入して来ると、まずマクロファージと呼ばれる喰食細胞に取り込まれます。抗原を取り込み消化したマクロファージは抗原の特徴に関する情報をリンパ球のT細胞に伝えます。さらにT細胞はB細胞と呼ばれる別のリンパ球に対して侵入してきた抗原のみに対抗する特異的IgE抗体を作るように命じます。IgE抗体は内部に化学物質をため込んだ肥満細胞と結合し、抗原を待ちます。これで肥満細胞は敏感な状態になりましたが、まだアレルギー反応は起こりません。この状態を『感作状態』といいます。
やがて2度目に抗原が侵入し、肥満細胞上のIgE抗体と抗原とが結合すると細胞内部にシグナルが伝えられ、細胞が活性化し、次々と反応を起こします。その結果、肥満細胞からヒスタミン、好酸球走化因子、ロイコトリエンなどの様々な化学伝達物質やインターロイキンなどのサイトカインが放出されます。
化学伝達物質が気管支に作用すれば、気管支平滑筋が収縮し、粘膜の腫れ、痰の分泌などによって気道が狭くなり喘息発作を起こします。皮膚に作用すると炎症や腫れ、かゆみが起き、じんましんを起こします。鼻の粘膜に作用すると血管透過性が亢進し、血液中の水分が集まり鼻粘膜が腫れて鼻づまりを起こしたり、神経刺激によってクシャミ、鼻汁が大量に出るアレルギー性鼻炎をもたらします。消化管でこの反応が起こると腸の平滑筋が収縮して腸の動き(蠕動)が異常に高まり、腹痛、嘔吐、下痢などの消化管アレルギーをもたらします。
この反応は抗原が侵入して30分以内におこるため、1型、または即時型アレルギー反応と言われます。即時型反応は1時間ほどで収まります。
しかし、4〜6時間後には肥満細胞から放出された好酸球走化因子やサイトカインに引き寄せられて、毒性の強い化学物質を持つ好酸球がアレルギー反応の部位に集まり、化学物質を放出して組織障害を引き起こします。この反応が気管支で起これば粘膜上皮が剥離して、抗原がさらに容易に侵入できるようになり、アレルギー反応が長引き、気道の過敏性が亢進し、喘息が難治化します。これを遅発型喘息反応といいます。気管支喘息には『慢性上皮剥離性好酸球性気管支炎』という別名があります。アレルギー症状の大部分がこの即時型アレルギー反応で起こりますが、他の型のアレルギー反応もあります。次に説明します。
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次ページは1型以外のアレルギー反応を説明します。
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