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「私自身、実際に何度もダイエーの店舗に足を運んでみました。すると、ダイエーが生き残りをかけて必死になって生まれ変わろうとしていることが、ひしひしと伝わってくるのです。そうした状況を実際に目の当たりにしたことで、この会社は絶対に良くなると確信しましたね…」
今年1月、まさに電撃的にUFJ銀行の初代頭取に就任した寺西正司氏がこう言ってみせる。
寺西頭取の最大の特徴を挙げるとすると、前述のコメントでも判るとおり、まさにエネルギッシュな行動力ということに尽きるだろう。
1947年生まれの55歳ということから、“メガバンク最年少トップ”という形で紹介されることの多い寺西頭取だが、実年齢以上の若さを感じさせる。
その寺西頭取だが、明後日(5月12日)の「サンデープロジェクト」に出演し、田原総一朗氏との間で“一対一”のやりとりを行うという。しかも、生(ナマ)での出演というからいささか驚きだ。
寺西頭取はこの4月に全国銀行協会会長に就任しているが、現職の全銀協会長がテレビに生出演するのは、筆者の記憶ではまさに史上初ということになるはずだ。ある意味でこのこと自体、意外な感じもするが、保守的−しかも“ウルトラ”が付くぐらい−な体質を多分に持つ銀行業界の中にあっての今回の決断は高く評価していいだろう。
もっとも、全銀協会長のテレビ出演という点では、2代前の会長を務めた旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)の杉田力之元頭取が、その先駆者だった。東京都が一方的な形で策定した外形標準課税に対し“反論”することが、テレビ出演の主目的だった、と言える。
つまり銀行業界にとっては完全に逆風の中でのテレビ出演だったことは間違いない。そうした点で杉田元頭取の“勇気”には今もって心から敬服させられる。ただし残念ながら、この時の出演スタイルは“事前収録”だったのである。当時の状況を考えれば、これは致し方ないと言えるが、それだけに今回の寺西頭取のテレビ出演には大いに注目したいのだ。
もっとも寺西頭取自身、これまで“活字媒体”の上では、何度か登場し自らの経営哲学を語ってきた。
にもかかわらずなぜ、筆者がそこまでテレビ出演に注目するのか、当コラム読者は不思議に思われるかもしれない。
その最大の理由は、テレビという媒体はストレートな形で出演者のキャラクターを伝えてしまうからだ。
「これまで銀行−特に大銀行の経営トップというと、“切れ者”とか“策士”というキャラクターで語られる人物が大部分を占めていた。またそうしたキャラクターは、仕事ができるということと同義語だった。しかし寺西頭取はどうやらその対極に位置するキャラクターの持ち主のようだ」(大手都銀首脳)
筆者なりに寺西頭取のキャラクターを分析してみると決して“カミソリ”ではなくまさに“ナタ”。しかもこの“ナタ”の切れ味は、非常に鋭そう、というのが筆者の印象だ。
そうした点で、新しい銀行トップ像を提示してくれそうな予感が寺西頭取からうかがえる。
昨日、UFJ銀行の東京営業部(東京・大手町)で、スタッフと何やら打ち合わせをする寺西頭取をチラとお見受けした。
あくまでも自然体で頭取に応対している本店スタッフの姿が妙に印象的だったが、寺西頭取について言えるのは、本当に“現場”の似合う人、というのが筆者の正直な感想だ。