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■2002年通常国会(後半)の特徴
第一。汚職事件続発。鈴木宗男氏をめぐる疑惑追及は後半国会の主要なテーマになるが、疑獄事件はこれにとどまらない。新たな疑獄事件が次々と表面化する。自民党は高度成長期を通じて確立した金権政治を90年代の不況期を通じて改革することができず、不法行為に手を染める議員が続出した。このなかでとくに際立っていたのが鈴木宗男氏だ。いま、自民党の政治家が行ってきた数々の不法行為が建設会社などの直接の関与者の内部告発によって暴かれようとしている。少なくとも2002年中は政界は汚職事件で大揺れになると私は予想している。 政界混乱の結果、衆議院解散・総選挙か内閣総辞職という事態が起こる可能性が高まる。総選挙が実施されれば、自民党は大敗北を喫し、民主党が第一党になり政権交代が起こる可能性すらあると思う。
第二。小泉内閣は今国会で、有事法案、個人情報保護法案と人権擁護法案(マスメディアではこの二法案は「メディア規制法案」と呼ばれている)など、有事対応のための国民の基本的人権抑制と言論の自由制限の法制化を強行する構えである。このほか健康保険法改正、郵政関連法案についても反対勢力の抵抗を押し切って強行成立をはかる構えをとっている。 小泉首相は、今まで衣の下に隠してきた、岸信介元首相の系譜に属する右翼政治家の本性を露わにしたのである。小泉政権がめざしているのは戦時即応体制の確立である。小泉内閣は成果を上げることができない構造改革路線から軍事と治安対策強化の路線に方向転換したと見ることができよう。
第三。小泉内閣の経済対策をめぐる内部対立と首相の無為無策。小泉首相は、日銀、金融庁、財務省の対立を調整する意思も能力もないことが明らかになった。内部対立を放置したままである。無責任そのものだ。新たな経済的危機が予想されるなか、小泉政権の無政府状態がつづいている。 野党やマスメディアはこの小泉内閣の体たらくに目を向けようとしていない。政治家、官僚、マスコミ、財界に危機感のない状況下で、中小零細企業の倒産は続発している。新たな経済危機が到来すれば、小泉内閣への国民の見方が一変する可能性は高い。このような状況のなかで、小泉首相は衆院解散を断行する意向を仄めかしつづけている。しかし、衆院解散には自民党内に反対が強い。小泉首相が解散断行に失敗すれば、もはや小泉首相の前に待っているのは内閣総辞職だけである。
■政治状況変化の底流
なぜ、どうして、日本の政治はこれほど急激に変わろうとしているのか。小泉首相はなぜ戦時即応体制の確立を急ぐのか。
第一は国際的要因。アメリカの巨大化とブッシュ政権の「一国行動主義」。この強いブッシュ政権からの対日圧力の激化。アメリカは軍事、政治、経済、技術の面で唯一の超大国となった。現在の世界にはもはや一国でアメリカに対抗できる国は存在しない。それだけではない。アメリカに逆らう国には平和と安全が保障されないのである。ブッシュ政権は世界戦略だけでなくアジア戦略においてもクリントン時代の枠組みを根本から変える方針を推進している。ブッシュ政権は新アジア戦略に小泉内閣を手先として使おうとしている。小泉内閣が急いで有事法制をつくろうとする動きの真の仕掛け人はブッシュ政権の対日工作グループである。 同時に、クリントン時代に北朝鮮政策に関与した日本の政官界の人脈をパージする動きの底にあるのは、ブッシュ政権のイラク攻撃の準備とこのための対日新戦略である。小泉内閣は自らブッシュ政権の尖兵になろうとしている従米政権だ。日本の自衛隊を米軍の傭兵として使おうとしている。これが小泉首相が進める有事法制とメディア規制法制定の真の狙いである。
第二は国内的要因。
その1。小泉首相の構造改革と経済政策の失敗。国民の目を軍事問題と民主的権利制限の問題に切り替える狙いがある。小泉首相は自らの無能による経済失政を過激な対決法案を出すことによって隠蔽しようとしているのである。
その2。公明党=創価学会の右旋回。自公保連立政権成立後の公明党の変化は顕著だ。公明党は結党時は創価学会の宗教理念を政治を通じて実現しようとする宗教政党だった。これが同党の第一期。ついで「人間性社会主義」をめざす革新政党へ。これが第二期。さらに第三期の中道政党へ。その後一時新進党に参加したが(このときは「保守・中道」政党)、小渕内閣時代に自自公政権に参加し「保守政党」に変質(これが第四期)。そして小泉政権とともに「保守反動」政党に変質した。現在の公明党は有事法案とメディア規制法案の最も積極的な推進者である。だが、公明党=創価学会はマスメディアでは批判されることはない。なぜなら、不況に悩む大新聞社とテレビ・ラジオ局の多くが、創価学会から広告費をもらうことで経営維持をはかっているからである。創価学会は自民党と大メディアといくつかの官庁指導層を味方にし、日本国の支配者的地位を確立しつつある。創価学会批判者は政府からもマスコミからも睨まれ排除される存在である。
その3。マスメディアの右傾化。最近、大新聞、大テレビ局は、小泉内閣が法制化しようとしている「メディア規制」を前に大騒ぎを始めたが、これが小泉政権を無批判に擁護して御用マスコミ化した結果であり報いであることにいまだ十分気づいていない。マスメディアは小泉フィーバーの先頭に立ったおのれの過ちと不明をまず反省すべきである。マスコミが「メディア規制」に本気で反対するなら、小泉政権打倒の戦いに立ち上がらなければならない。一方では小泉首相に媚びを売りながら、他方ではメディア規制反対をメディアを通じて大騒ぎしているマスコミ指導者の姿は滑稽であり醜態である。このままでは日本は非民主主義国にされてしまうおそれが強い。マスメディアは民主主義を守る戦いに立ち上がるべきである。もう一つある。
「その4」は野党とくに民主党の問題である。野党の無力が第四の要因である。次項で述べる。
■民主党の課題
民主党が国民から信頼されない原因はもっぱら指導部の弱さにある。民主党の鳩山代表、菅幹事長のいわゆる「鳩菅体制」が弱体である。鳩菅体制の弱点とは何か。
その1。自分自身の力で政権をとる自覚に欠けている。「鳩菅」には他力本願的体質が強い。つねに他党との協力に頼ろうとする。最近は小沢一郎自由党党首を頼りにしているが、国民が求めているのはたった一人でも戦う強いリーダーである。国民は政党の離合集散に飽き飽きしている。「鳩菅」は国民世論の動きに気づかないといけない。要するに「鳩菅」にはトップリーダーとしての資質が欠けているのである。
その2。「鳩菅」は「言葉」で国民の支持を得ようとしているが、国民はすでに小泉首相の言葉だけの政治に背を向けている。国民が政治家に求めているのは実績であり実行力である。
その3。「鳩菅」には致命的な弱点がある。村山自社さ連立政権に加わっていたことだ。自民党中心の自公保連立政権に代わる民主党政権の指導部は、少なくとも1993 年の自民党分裂、細川政権成立以後一貫して反自民の立場を貫いてきた政治家によって構成されなければならない。自民党政権から一本釣りされるような政治家には自公保連立政権に代わる新政権の指導部を構成する資格はない。とりわけ鳩山代表には致命的失敗があった。鳩山氏は昨年、小泉首相を支持する意向を表明した。これは取り返しのつかないほどの大失敗だった。野党第一党の党首としての誇りを捨て去るに等しい愚行だった。鳩山氏はこの責任を自覚すべきである。
その4。「鳩菅」は寄り合い所帯である民主党を共通の理念をもつ一つの政党につくり変える努力を怠ってきた。このままでは民主党はいつまで経っても「寄り合い所帯の選挙協同組合」に過ぎない。少なくとも国民からはそう見える。民主党が自公保連立政権を倒して政権を担うためには、共通の政治理念、基本政策を国民に対して示さなければならない。民主党は中道政党として生きる姿勢を国民に示すべきである。安全保障政策、対米政策、経済政策などすべての基本政策において自立的「中道」路線を確立すべきである。民主党が次の総選挙で政権を狙うためには少なくとも鳩菅体制に代わる新指導体制をつくる必要がある。鳩菅体制を変える時間的余裕のない場合でも、総選挙後の首班候補には鳩山・菅以外の人物を選ばなければならない。民主党が首班候補にすべき人材は党外にいる。北川三重県知事、橋本高知県知事、浅野宮城県知事のいずれかの擁立を真剣に検討すべきである。このなかでは中央政界の経験をもつ北川氏がベストだと思う。中央政界にも首班候補者たりうる人物がいる。1993年以来一貫して「野」の立場を貫いて頑張り抜いてきた渡部恒三衆議院副議長である。行政経験も豊富であり政治家としての実力もある。民主党中心の中道政権の首相になり得る有資格者の一人である。 民主党内では岡田克也政調会長を推す声もある。私も一時岡田氏を候補に上げたことがあるが、いまだ宰相への強い自覚が芽生えていないとの見方が党内では強い。それにアメリカン・グローバルスタンダードへの傾斜が強すぎる。弱者への配慮なき発言も目立つ。民主党に求められているのが「自立」であり「弱者への温かさ」であることを理解していない者はトップリーダーとして不適任ではないかと思う。
■政権交代の三条件
――大疑獄事件、政府の経済失政による経済混乱、現実的政策をもつ野党の存在 上記の三条件が揃ったとき、旧政権が崩壊し政権交代が起こる。これは一種の社会法則である。1948年末の芦田均民主・社会連立政権の崩壊と吉田茂内閣の成立、1954 年の吉田自由党内閣の崩壊と鳩山一郎民主党内閣の成立、1993年の宮沢喜一自民党内閣の崩壊と細川護煕非自民党内閣の成立――この三回の政権交代に共通するのは、上記の政権交代の三条件が揃った点にある。近く行われる総選挙は、以上のうち、(1)大疑獄事件、(2)政府の失政による経済混乱(深刻なデフレ)の二条件は揃っている。残りの一つがいまだ不十分であるが、民主党が北川氏、渡部氏などの新たな首班候補を決定するだけで十分条件が満たされる。2002年7月〜12月に総選挙が行われる可能性は高いと思う。このときが選挙による政権交代の絶好機である。総選挙の基本的対立軸は「自公保」と民主党のどちらの政権を選ぶかである。「鳩菅」は小沢自由党党首を頼りにして連立政権をめざしているように見えるが、いま民主党に必要なのは他力本願からの脱却であり自立である。民主党は第一義的にはあくまで単独政権をめざすべきだ。連立政権は総選挙後に新たな議席が決まった上で検討すればよいことであり、選挙前の小沢一郎氏との固い連携は民主党に期待感を抱いている「弱者層」の支持を失うだけである。民主党は自らの力を信じる若い政治家を総結集して単独の政権を狙うべきである。「鳩菅」がすでに国民の支持を失った古い政治家の代表である小沢一郎氏を頼りにするのは時代遅れであり、滑稽ですらある。いま民主党がなすべきことは、党の総力を結集して誠心誠意、北川知事らに民主党の首班候補になることを懇請することである。これによって政権交代をめざす総選挙を成功裡に戦うことができる。これによっていままで負の役割しかなかった小選挙区制が正の役割に変わる。大きな歴史的転換期が日本国民の目の前に到来したと見てよいと思う。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/