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(回答先: Re: 「通貨をドルに」アルゼンチン元大統領メネム氏訴え(朝日新聞) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 5 月 09 日 12:04:54)
FP親衛隊国家保安本部殿、こんにちわ。
「あの時にドル化してさえいれば、こんな酷いことにはならなかったのに」と言われる根拠は明示されていないので一方的な説明になりますが、ドル化していても、あんな酷いことになり、それから抜け出すのはもっと困難になっていたと考えています。
メナム元大統領が実施し10年ほど続いた1ドル=1ペソの固定相場制は、アルゼンチンが通貨発行権を維持しながら、論理的なドル化を実現したものです
現実的なドル化政策が採られ、アルゼンチンの経済社会でドルが流通していた事態を考えてみます。
1ペソ=1ドルの固定相場制とドル化は、国際競争力についてはイーブンですから、基本的な経済状況は変わらなかったはずです。
(1ドル=1ペソの固定相場制を維持するために財政にタガがはまり、金融政策もそれに縛られていました。ドル化のほうが、より厳しい財政の締め付けになり、金融政策も米国のそれがそのまま適用されることになるので、より厳しい経済状況になっていた可能性が大きい)
公的対外債務は、ドル建てですから現状と変わりません。(ドル化であれば、国内での政府債務もドル建てです。国内がペソ建てである分、現状のほうが“楽”でしょう)
結局、ドル化されたアルゼンチンも、ドルを外国に持ち逃げされて、現在のような預金封鎖状態に陥ることになります。
異なる事態は、ドル建て銀行預金のみならず手持ち通貨もドルということで、1ドル=3ペソという事態にはならなかったということに絞ることができます。
果たして、これが“アルゼンチンの危機”を救済することになるでしょうか?
ドル化されていれば、為替レートの変動で国際競争力が調整されることはありません。
ペソであれば、為替レートの変動でそれなりに調整されます、
現状を打破するためには、国内通貨がドルであれば、アルゼンチンの銀行がFRBからドルを借りるか、外国投資家からドルを借りるかしなければなりません。(融資元はIMFでもいいでしょう)
ペソであれば、とんでもない金融資産価値の切り下げとインフレを招くとはいえ、敗戦直後の日本のように自国の政策と国際協力でなんとかしのぐこともできます。
アルゼンチンの銀行財務や基礎的経済力が劣化している現状では、政府の債務保証などといった通常のかたちでFRBや外国投資家がドルを貸してくれることはないでしょう。
それこそ、国有資産を担保に差し出すことでようやく貸し出しに応じるといったものでしょう。
企業や大土地所有者などの経済主体も、ドルに縛られた経済取引を行わなければならないので、国際競争力が劣っている経済主体は後述のような策を採らない限り破綻することになり、担保を召し上げられることになります。
勤労者も、ドル建てで国際競争力を維持できるようになるまで、解雇されたり、賃下げされることになります。(これは1ドル=1ペソで実際に行われてきたこと)
経済力や国家信用力が劣るアルゼンチンが、自国に還流させるためにドル高・高金利(現在は違うが)政策を採っている米国の通貨ドルを自国通貨にすることは無謀なのです。
愚かなメナム元大統領は、通貨をドルにすることで米国と合体と言っていますが、米国でも、ネブラスカ州とニューヨーク州は違い、一般勤労者とロックフェラーは違います。
アルゼンチンが合衆国の一つの州になり、アルゼンチン市民が自由に米国に移住でき、貿易も州際取引として行えるようになったとしても、“アルゼンチン州”が豊かになる保証はないのです。
メネム氏は、ユーロとアルゼンチンのドル化を同列に置いていますが、EU制度と&ユーロ(通貨同盟)は、米国とアルゼンチンの関係性や“既存通貨”ドルの国内化とはまったく違うものです。
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※ 参考書き込み
『『アルゼンチン金融危機』の実相 《日本の統治者は何に関心を持ち、国民は何を学ぶべきか》』
http://www.asyura.com/2002/hasan9/msg/581.html