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2002年末のパソコンハード価格は今より高いか、安いか―。業界団体である社団法人電子情報技術産業協会が「年末にはパーツ価格が一段落し、パソコンの価格が下落する」と予測したことで波紋が広がっている。5月から各社が一斉に発売する新製品では、パーツ価格の上昇を背景に、メーカー各社が本体価格を2〜3万円程度引き上げることはほぼ確実の見通しだが、同団体の予想は当事者ともいえるメーカーの見方とは真っ向から対立するからだ。さらに業界団体の発言を受け止める個人ユーザーなどは、年末までの買い控えを引き起こす可能性も出てくる。団体側では「価格の上昇や下落はパソコンの需要動向に影響を及ぼさない」としているが、メーカー関係者からは「需要低迷が買い控えでさらに拍車が掛かり、長期化する懸念も」といった声が上がっている。
●「パーツ価格アップで値上げは必至」の各メーカー
ソニー<6758>、NEC<6701>、富士通<6701>などの主要パソコンメーカーの幹部は、口を揃えて年明けまで、パーツやパソコン本体の価格は高止まりするとの見通しを立てている。これに対して、パソコンメーカーなどが加盟する業界団体の社団法人電子情報技術産業協会が「年末以降、パソコンの本体価格は下落することになる」との予測を正式コメントとして打ち出したため、業界内が混乱し始めた。
●「年末には需給バランスとれて価格も下がる」電子情報技術産業協会
パソコンメーカー側の言い分は、パソコンの価格上昇の原因となったのは、メモリ価格の上昇と、液晶モニターの価格が上昇した―の2点。これが来年まで続くというのが基本的な見方で、さらに円安傾向についても同様に長期化するとの見方をしている。それがほとんどを輸入部品で構成するパソコンの本体価格の高止まりの長期化につながると見ている。一方、電子情報技術産業協会は「年末にはメモリ、液晶ともに需給バランスがとれはじめ、部品価格は下がってくる」としたうえで、「早ければ年末、遅くとも年明けには5月以前の価格よりも下がる」と予測した。
実は、このコメントに対して、一部の業界関係者は懸念の色を見せ始めている。というのも、パソコンの価格が年末にも戻ると業界団体が認めたことで、値下がるまでパソコンを買い控えるユーザーが出てくる可能性があるからだ。
●一気に買い控えに流れるか〜「年末には価格も下がる」?
パソコンメーカー側が、パソコン価格の高止まりが長期化するとした背景には「年末まで待ってもそれほど価格は変わらない。だから、いま購入した方がいいですよ」というマーケティング的な側面もあったはず。事実、価格の高止まりは多くのメーカーが認めているところであり、長期化の方向はあながち嘘ではない。だが、業界団体が年末には価格が下がると明確に打ち出したことで、これを知ったユーザーがパソコンの値段が下がるとされる年末まで購入を控える―といった動きも出てくるはずだ。
2001年度の出荷実績では、過去最悪の前年比2ケタ減という需要低迷を余儀なくされているパソコン業界だけに、暗い材料は少しでも排除したいというのが本音だろう。そのなかでの今回の発言は、買い控えという暗い材料を引き出すことにつながってしまう。電子情報技術産業協会では「価格の上昇は需要動向には関係ない」としているが、これも聞きようによっては、価格下落発言が、買い控えを招くものではないという言い訳の発言のようにも聞こえてくる。
果たして、業界団体の「価格の年末下落」発言が、年末までのパソコン需要にどんな影響を与えるのか。同協会の予測が正しければ、それはそれで問題はないのだが、仮にハズレてしまった場合、その及ぼす影響はあまりにも大きい可能性が出てくる。
(柴山 豊)
・今夏モデルから一斉値上げ?〜部品価格上昇がパソコンを直撃
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200204/10/20020410171519_67.shtml