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ファーストリテイリング<9983>の柳井社長が突然、会長就任を発表して関係者を驚かせた。4月の売上高は前年同期比42.9%減と業績悪化が深刻化しているが「ブームが去った以上、誰が何をやっても効果は知れている」(準大手証券)と、新社長に対する兜町の見方は冷ややかだ。社長交代の真意はどこにあるのか―。
●経営方針と実践に矛盾が
柳井社長はこれまで「安売り路線は追究しない」と繰り返してきた。しかし、土日限定の割引商品に人気が集中し4月は客単価の大幅減少に見舞われたばかりなのに、5月の連休中はポロシャツを2枚買うともう1枚プレゼントするという通信販売並みの安売りキャンペーンまで実施。マスコミに発表する経営方針と売り場でみられる安売り戦略のズレは隠しようもない。
●新体制に「MBA経営」の悪弊を懸念
柳井氏の後任として社長に就任する玉塚元一常務(39)は旭硝子<5201>在職中に社費で米国留学、IBMを経てファーストリテイリングに入社した。記者会見では、背筋を伸ばし大きな声で「当社の強みを徹底的に再強化していきたい」と抱負を語った。MBA(経営学修士)取得者らしく、手馴れたプレゼンテーション進行をみせたが、「高品質の商品を市場最低価格で提供する」と“柳井イズム”を復唱してみせたほかに、今後の具体策は聞かれなかった。
柳井社長は業績悪化による辞任説を「責任を取るという考えは全くない」と否定する。今後、柳井現社長が食品販売を含めたグループ全体の事業を統括、玉塚次期社長が本業の衣料品事業を切り盛りする。柳井社長が現場から遠ざかりながらも、意思決定には意見できるシステムになるため、劇的な経営方針の転換は考えにくい。発表当日には、ある外資系証券が新体制について「短期的には不透明要素が高まった」とするレポートを作成し、新人事への評価の難しさをうかがわせた。
●アナリストはなぜか強気
最後に1点。この銘柄の異質な点は、アナリストの投資判断の誤りが少なくないことだろう。業績、株価チャートともに、これほど明確なダウントレンドを描きながら、なぜか売り推奨のレポートが目立たない。「損をさせた顧客に逃げ場を作るためなのか、わざと間違えているとしか思えない」(他業種担当アナリスト)との声まで飛び出す始末だ。
4月の中間決算発表後、米系大手証券が目標株価を4600円に引き上げ、良くも悪くも市場の注目を集めたばかり。今後は同社についてのレポートを追跡調査し、アナリストの見方が本当に当たっているかどうかを調べてランキングを作ってみるのも面白いかもしれない。
(半沢 昭悟)
・「深層・真相」〜どこへ行くユニクロ〜迷・鬱・謎
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200204/24/20020424114511_08.shtml
・迷走するユニクロ〜新規事業・・・実は業績下方修正の発表
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200201/09/20020109111502_43.shtml