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「そもそもは、旧第一勧業銀行が開発した口座振替システムや同行が策定した運用計画に不備があったことが主原因となって発生したシステムトラブルだ。5月7日に提出される予定になっている“最終報告書”にもそう明記されている。にもかかわらず、旧富士銀行出身の前田晃伸みずほホールディングス社長だけに、一連のシステムトラブルの全責任を負わせるというのは、どう考えてもあまりにも理不尽だ」
みずほフィナンシャルグループの経営中枢幹部が、こう言ってみせる。この“経営中枢幹部氏”は、旧富士銀行出身者。そしてこう続ける。
「確かに前田社長は、4月1日にみずほグループが完全統合に至るまで、事実上の統合作業責任者である移行対策本部の本部長を務めていました。しかも、4月1日のシステム統合に至る直前の段階で、システムの不都合があるとの報告を受けていたことも事実です。そうした一連の経緯から、前田社長の経営責任を問う声が挙がってきているようですが、逆にわれわれとしてはそう主張する人に聞きたい。システム統合を直前に控えた3月末の段階で、その運用面に不安があるからといって、システム統合を全面的に回避することが可能だったのかと」
この経営中枢幹部氏の言わんとしていることはこういうことだ。
銀行の経営統合−つまり、みずほ銀行、みずほコーポレート銀行等の営業開始−を4月1日に実施する一方で、システム面での統合を4月1日以降に先送りすることは現実問題として不可能−。 確かにこうした“指摘”には一理ある。
銀行自体が完全統合されているにもかかわらず、システム運用面を旧銀行のままの状態で走らせることはみずほグループのような統合手法をとった場合、現実問題として不可能だからだ。
「つまり、前田社長に最終報告が上がってきた時点で、前田社長がとれる選択肢としては『GO』しかなかった、というのが実情なのです」(前述の経営中枢幹部)
逆に言えば、みずほグループサイドとしては、こうしたロジックを前面に押し出すことで、前田社長が引責辞任に追い込まれることを何が何でも回避する戦略のようだ。
「そのためには、旧第一勧業銀行にドロをかぶってもらう。そうは言っても、事実、旧一勧サイドのミスなのだから…」(前述同)
今日、みずほグループが金融庁に提出する“最終報告書”でも、こうしたロジックが全面的に展開されている模様だ。
別のみずほグループ幹部が言う。
「しかしそうしたやり方は、間違いなくみずほグループ内部に大きな禍根を残すことになるだろう。前田社長自身、一連のシステムトラブルが発生してからというもの、その対応面ではミスの連続だった。最悪だったのは、何と言ってもマスコミ対応で前田社長が逃げ回った結果、ほとんどすべてのマスコミを敵に回してしまったことだろう」 組織防衛という意味での「リスク管理」では最低の対応しかできなかった前田社長だが、自らの保身については、水面下でいろいろと動いているというのが実情のようだ。
今後の前田社長の動向には注目したい。
2002/5/7