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Nikkei Business 4月29日号 財政と金融のダブル危機避けよ
一部抜粋
金融システムが不安定化し、危機の発現を抑え込むために、公的資金の再注入という形を取るかどうかは別にして、財政出動をしなければならないという状況も、十分に考え得る。しかし、必要であったとしても、財政資金を投入する余裕が、今の日本政府に本当にあるのか。今回の3月危機騒ぎの中では、公的資金の再注入論が盛んに主張されたが、その財源問題についてはほとんど検討されることがなかった。預金保険機構の危機対応勘定に用意されている15兆円を使うといった言い方がされたが、預金保険機構に15兆円の現金があるわけではない。それどころか、預金保険機構は累積赤字を抱えた状態にある。勘定にあるのは、現金ではなく、政府保証枠だけである。従って、実際に資金を使おうと思ったら、預金保険機構は政府保証債を発行するなどして借り入れを行う必要がある。換言すると、公的資金投入は政府債務の増加によるほかないのが、現状である。新規国債発行30兆円枠をうんぬんしている時に、!5兆円も国債類似の政府債務を増やしても大丈夫なのか。こうした金融危機対策のための追加的な財政支出の負担に、日本の財政システムが果たして耐えられるのかという点に関して、この間の議論はあまりにも無頓着であった。しかし、この点は無視してもよいことでは決してない。本当に必要な場合にも、財政が出動できない、あるいは無理に出動すれば、国債相場の暴落を引き起こしてしまうというようなことでは、どうしようもない。金融システムと財政システムの危機が互いに共鳴し合うような事態は、絶対に回避しなければならない。そのためにも、財政の持続可能性に関する懸念を和らげ、多少の負荷をかけても財政システムが動揺しないようにする必要がある。今般の税制改革の論議に当たっても、経済の活性化の視点だけでなく、こうした考慮も忘れてはならないだろう