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「先週末の金曜日、全信組連が緊急役員会を開いたもようです。このゴールデンウイーク期間中に、信用組合業界を舞台に何かが起こる可能性が出てきた、ということではないでしょうか…」
ある新聞記者がこう語る。
ここでいう“全信組連”の正式名称は「全国信用協同組合連合会」で、各個別信組にとっては“親銀行”的な存在だ。
いささか手前ミソながら、先週掲載した当コラムの記事が信組業界および金融庁で微妙なハレーションを起こしている、というのだ。
その記事とは、4月25日付の『まもなくペイオフ第1号!? 4月以降預金流出止まらず(第844回)』とタイトルされたものを指す。
とりあえずこの記事のエッセンスをザッと紹介しておくことにする。
《甲信越地区に本店を置くZ信組が、ペイオフとなった今年4月1日以降、大量の預金流出に見舞われ、同信組の預貸率(貸出金÷預金)は95%ラインを突破した。かりにこのまま100%ラインを越えるようなことになれば、Z信組は資金繰り破綻に追い込まれてしまう可能性が高くなってしまう。監督官庁である金融庁の今後の対応に注目したい−》
大手信組の理事長が言う。「われわれとしてもあの記事を読んで、本当にビックリした、というのが本音だ。われわれのように信組業界の内部にいる人間だって、現段階においては他信組の4月中の業況を入手することは、特別な事情でもない限り事実上不可能。そこで、あわてて事実確認に走ったところ、どうもあの記事で書かれていることは本当のことらしい、ということになった…」
こうした一連の状況を受ける形で、金融庁は預金の取り付け騒ぎなどで流動性危機が発生した場合、たとえそれが信用金庫や信用組合といった中小金融機関であったとしても、公的資金を投入していく意向を固めたもようだ。
その際に投入される資金は、預金保険機構に設けられた“危機対応勘定”にプールされている公的資金が使われる方向だ。この“勘定”を利用することでトータルで15兆円の公的資金の投入が可能となっている。
「もっとも、この“危機対応勘定”を活用するにあたっては、首相を議長とする『金融危機対応会議』を召集し、地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生じるおそれがある、ということを認定しなければならないのです」(金融庁幹部)
これまで一般的には、こうした“ケース”に該当するのは、主要行や地銀、第2地銀において流動性危機−つまり取り付け騒ぎが発生した場合、と受けとめられてきた、と言っていいだろう。
ところが金融庁サイドは、これを信金や信組にまでその範囲を広げようとしているのである。
「金融庁内部では、たとえ預金量規模の小さな信金や信組で流動性危機が発生した場合でも、そのことが近隣金融機関や同業界の金融機関に連鎖する可能性が高く、“危機対応勘定”の発動条件を満たせる、という意見が多数を占めつつあるのが実情です」(同)
しかし少々待っていただきたい。そこまで“危機対応勘定”の発動条件を拡大解釈してしまったならば、ペイオフは事実上“封印”されてしまうことになる。
それこそ、壮大なモラルハザード(倫理観の欠如)が発生することは間違いないだろう。
金融庁にはぜひとも今一度、一考を促したい。