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4月28日に投開票された衆・参院の補選や知事選の結果を受け、連休明けの東京株式市場では、小泉政権の弱体化が進むとの懸念から、政局の動向があらためて株価の圧迫要因になるとの見方が広がっている。市場関係者の多くは、小泉首相が今後、与党内の抵抗勢力に一段と妥協を迫られ、構造改革がさらに遅れかねないと懸念している。景気の循環的な回復で株価は底堅い展開になっているものの、中長期的な株価上昇トレンドが描きにくくなった、との声も少なくない。
与野党対決型になった今回の選挙では、自民党は衆院和歌山2区補選で公認候補が競り勝ったものの、参院新潟補選では敗北、徳島県知事選でも支援した候補が落選した。この結果について、市場では、「自民党は1勝2敗で、予想の範囲内」(大手証券)としながらも、小泉人気の低下がさらに明確になった、と見る向きが多い。世論の支持を基盤に構造改革を進めてきた小泉政権の基盤が弱体化し、与党内抵抗勢力や野党に対して妥協を余儀なくされる場面が増えるとの予想から、「株価には直接的な影響はないだろうが、小泉首相のリーダーシップの低下を通じて、株価にもジワジワと効いてくるのではないか」(ニッセイアセットマネジメント投資信託運用部長、武藤弘明氏)との指摘が目立っている。
市場が懸念しているのは、構造改革や景気対策の遅れだ。6月にまとまる予定の税制改革では、政府税調と経済財政諮問会議の対立点も表面化してきており、さらに自民党税調との調整も難航が予想されている。市場の求める減税先行を実現できるかどうか、「小泉首相のリーダーシップが問われている」(準大手証券)という。
コメルツ証券ストラテジストの一尾仁司氏は、「特殊法人問題にからんで、ヤマト運輸<9064>が郵便事業に参入しない方向を打ち出したことは象徴的だ。構造改革賛成派からは、改革が物足りないといわれ、反対派からは、改革そのものに正面きって反対される。力のない内閣は必ず改革の内容を骨抜きにされるため、本質的な改革路線を走ることができていない」としている。
ニッセイアセットの武藤氏は、「当面の焦点は、重要法案が目白押しの後半国会をどうリードするかだ。ここで、抵抗勢力や野党に足元をみすかされ、妥協を重ねるような国会運営になれば、株価にもマイナスだ。なんらかの形で突破口を開き、リーダーシップを確保できるのかどうかが問われるところだ」とみている。内閣改造論や解散の可能性などがくすぶりつづけていることもあって、構造改革の行方を読みにくくしている、という。
また、「国会が政治のパワーゲームに終始して、機動的な政策対応ができなくなれば、株価にも響いてくる」(準大手証券)との声が多い。これまで、鈴木宗男氏や加藤紘一氏、辻元清美氏などの問題に時間を割かれてきたこともあり、経済問題が後回しになることへの懸念が根強い。
先週発表された一連の企業決算では、ハイテク企業の業績が前期に大幅に悪化した後、今期に大幅改善という見通しが示されるなど、循環的な景気回復を示唆する結果が出た。しかし、「循環的な回復は、時がたてば循環的な景気後退に変わる。国内の構造問題が解決されなければ、長期的な株価の上昇シナリオは描けない」(別の準大手証券)との声が多い。
「株価は、まだいくつかの問題を織り込めていないが、そのひとつが政治情勢だ。景気が回復しても、これがあるため、資金が流入してこない可能性がある。株価が底堅くなっている分、実態とのギャップが広がっており、下振れリスクを抱えたまま走っている状態だ。株価がダラダラと下げ、小泉政権もダラダラと続き、その影で問題が大きくなっている」(コメルツ証券、一尾氏)との声が上がっている。