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産業・企業
Mon, 29 Apr 2002, 12:22pm JST
電中研:原油高、株安の同時進行を試算、GDP1%マイナス成長も
東京 4月29日(ブルームバーグ):原油高、株安が同時に進行した場合、 2002年度の経済成長率(実質国内総生産=GDP=の伸び率)は1%近いマイナス成長が見込まれる。財団法人・電力中央研究所(東京都千代田区)がこのほど実施した試算で、このような結果が明らかとなった。このため、電中研は「需要創出につながる政策の速やかな実施が必要」(門多治・上席研究員)とし、景気対策の必要性を強調している。
同研究所では、標準的なモデルケースのほか、原油価格上昇や株価下落、円高などのケースについてGDPを試算した。
原油価格が標準的なモデルケースよりも5割高となった場合、GDPが0.2 ポイント押し下げられ、マイナス0.6%成長になると分析。このケースは、1)中東地域で戦火が拡大した場合、2)石油輸出国機構(OPEC)と非OPECの増産が進まない場合、3)米国経済が好調で世界的に原油需要が拡大した場合、を想定した。
原油価格について、標準モデルケースでは1バレル当たり22.5ドル(輸入CIF価格)を予測。原油価格高騰のケースは、従来予想価格からおよそ5割上昇した1バレル当たり33.8ドル(同)で試算。石油価格の高騰に伴い、石油製品価格や物価上昇によるインフレが発生することで、インフレ抑制のために金利引き締めも予想される。このため、海外経済がスローダウンに向かうというシナリオを描く。
さらに、日本国内では輸入品の価格が上がり、国内物価もつられて上昇。 支出が増大するため、内需が落ち込み、最終的に実質GDPの低下につながるとしている。
また、株安については、1)実体経済の弱さを再確認、2)空売り規制効果の剥(はく)落、3)国内投資家、家計の保守的な投資行動−−などの動きが顕著となった場合を想定。02年度の日経平均株価が2割程度下落し、8000円で試算した。この場合は02年度の標準的なモデルケースと比べ、民間消費が0.11 ポイント、住宅投資が0.14ポイント、設備投資が0.10ポイントいずれもマイナスに下振れする。
このほか、2002年秋の米国中間選挙をにらみ、円高が進むケースも試算した。米国経済が回復基調となり、日本からの輸出が増加と仮定。このため、米国の貿易収支がさらに悪化することで、米国からの圧力で円高が進行して成長率が0.1ポイント悪化するともシュミレーションした。
一方、標準的なモデルケースでは、国内の景気回復に力強さが欠け、02年度のGDPはマイナス0.4%と2連連続でマイナス成長となると見込んでいる。ただ、電中研の予測では、日本経済は内需の自律的な回復が期待できないものの、米国やアジア経済の景気回復を受け、第2四半期(7−9月)から輸出がプラスに転じると見込んでいる。
東京 浅野 文重 Fumishige Asano