2002年度版中小企業白書(中小企業の動向に関する年次報告)によると、中小企業の資金繰りは極めて厳しく、金融危機が発生した前回景気後退期(1997年5月─99年1月)の水準に迫るところまで悪化している。
白書では、企業の資金繰り判断の推移を長期的に見た場合、「90年代以降、全規模企業および中小企業ともに悪化傾向が続いているが、特に、中小企業の資金繰りの悪化が著しいことが分かる」とし、全規模企業と中小企業の格差は大きく広がりつつあると指摘。そのうえで、「2000年10─12月期以降の今景気後退局面における中小企業の資金繰りDIも全規模企業を大きく上回るペースで低下しており、2001年10─12月期には前年同期比─36.6と、金融不況といわれた前回景気後退の水準(─37.8)に迫るところまで悪化している」とした。
また、中小企業における資金繰り悪化企業の割合は、バブル崩壊後は上昇傾向にあり、景気回復局面においても資金繰り悪化企業の割合は高い水準で推移しているという。2001年10─12月期には悪化企業の割合は、39.6%と前回金融不況時(2000年10─12月期)に次ぐ高い水準となっている。白書では、「景気回復期においても資金繰りの悪化から不変に移行する企業がほとんどで、好転する企業はほとんどない。景気回復期に入っても、資金繰りは好転せず、景気回復期直前の悪化した水準のまま推移している企業がほとんどであると考えられる」としている。