経済協力開発機構(OECD)は25日、加盟30カ国の経済見通しを発表した。日本経済は「循環的に下降は終わりつつある」と底入れ感を示し、02年(暦年)の日本の実質経済成長率を、マイナス0.7%と、昨年11月の予測値より上方修正した。しかし、企業のリストラで雇用・所得環境が悪化し、経済の回復力は弱くなるため、03年も0.3%と低成長を予測する。
米国経済は急速に回復したとして、02年は2.5%、03年は3.5%成長を見込み、世界経済の牽引(けんいん)役と位置づけている。ユーロ圏は02年前半は引き続き停滞するものの、米国経済の回復を受けて、後半から成長速度は速まると見ている。
OECDは日本経済の下押しリスクとして、金融システムの弱さと増加を続ける公的債務をあげる一方、政策提言では「短期の景気刺激は避けなければならない」と、財政拡大の余地はないとした。
また、金融庁の特別検査の結果について、不良債権問題は数カ月前に認識していたよりもさらに悪化し、銀行の情報公開の不備を示したと指摘。「銀行の引き当て準備は不十分で、銀行部門への資本注入がいずれ必要になる」と、公的資本の注入による不良債権処理の加速を求めた。