金融庁は、近畿財務局の金融検査官が収賄容疑で逮捕された事件を受け、金融検査に監察制度を導入する検討に入った。旧大蔵省幹部に対する過剰接待で世論の批判を集めた監督当局と金融界とのなれ合いが依然残っていたことを重くみて、金融検査への信頼を確立するためには、検査や検査官を第三者的にチェックする機能が欠かせない、と判断した。
金融庁は、全国に10ある財務局(支局含む)で検査の責任者を務める検査監理官を26日、緊急に東京に集め、検査官の不祥事が起きた原因や監察制度も含めた再発防止策について協議する。
金融庁や財務局では現在、検査結果を再検証し報告書をつくる制度はあるが、金融機関の検査のため外に出ている検査官の行動に目を光らせるのは難しかった。
破綻(はたん)金融機関の増加で金融検査の重要性が高まり、金融や証券の検査に携わる検査官は、現在約1000人に達している。そのため、金融庁は「郵政監察官制度などを参考に、金融検査にふさわしい制度のあり方を早急に検討したい」とし、監察のための組織やポストの新設を検討する。
金融庁は、大手行の特別検査を3月に終え、システム障害を起こしたみずほフィナンシャルグループへの立ち入り検査を控えた時期に、検査への信頼を揺るがす不祥事が起きたことを重視し、今回の措置を決めた。
大蔵不祥事をきっかけに大蔵省の財政と金融機能が分離され、各財務局は財務省の管轄下にあるが、地銀や信金、信組など地域金融機関の検査については金融庁が財務局に委任する形で行われ、検査は金融庁の監督下にある。
近畿財務局では、00年12月に経営破綻した在日韓国人系信用組合「関西興銀」の幹部から、定例検査で便宜を図った見返りに現金を受け取ったとして、上席金融証券検査官が23日に収賄容疑で逮捕されている。