NY(ウォール・ストリート・ジャーナル)シティグループ(NYSE:C)、バンク・オブ・アメリカ(NYSE:BAC)、バークレイズ(U.BCY)など欧米の大手銀行が、米大手会計事務所アーサー・アンダーセン向けに総額7億ドルの協調融資枠を昨年10月31日に設定していたことが明らかになった。その日は、アンダーセンが会計監査を担当していた米エネルギー大手エンロン(ENRNQ)が、会計慣行について当局の調査を受けていることを公表した日と重なる。注目されるのは、設定の時期だけではなく、極めて好条件による融資枠がアンダーセンに与えられたことだ。
融資枠は2本。1本は期間364日、金額3億7500万ドルで金利はLIBORプラス0.55ポイント。もう1本は期間5年、金額3億2500万ドル、金利がLIBORプラス0.65ポイント。このような好条件が与えられるのは、最も信頼されている顧客だけという。
このことは、経験の最も豊富な大手金融機関でさえ、アンダーセンがその数カ月後、エンロン関連の監査書類破棄による司法妨害の罪で司法省に起訴され、存続の危機に立たされることは、まったく予想できなかったことを示している。
融資枠をアレンジした銀行は、いずれも顧客に対する守秘義務を挙げ、コメントを避けた。ドイツ銀行(G.DBK)、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(U.RBK)、バンク・ワン(NYSE:ONE)なども参加している。こうした協調融資枠では通常、1行当たりの融資比率は10%以下という。
(ダウ・ジョーンズ)