経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)は24日、新たな金融システム強化策として、金融機関に具体的な数字を掲げた経営目標を設定させることで、経営の健全性や収益力拡大を実現する方式を導入する方向で検討を始めた。「3月危機」を乗り切ったことで、諮問会議が視野に入れてきた公的資金の投入議論を当面は封印する一方で、不良債権処理促進のためにも、銀行の自助努力を促し、健全なコーポレート・ガバナンス(企業統治)を確立することに焦点を当てる方針。
諮問会議は、経営目標として、資産をどの程度効率的に収益に結び付けているかを示す「ROA(総資産利益率)」、資本に対する収益力を示す「ROE(株主資本利益率)」のほか、「中核自己資本比率」「不良債権比率」など分かりやすい数項目を盛り込む方向で検討している。
金融当局はこまごまと銀行を監督・指導するのではなく、目標の達成度を点検・監視する。また、経営目標の達成度に対して、株式市場が敏感に反応することから、経営者に達成度に応じて厳しい結果責任を負わせることを狙っている。強力な再建計画を作り自助努力で経営危機から脱した90年代初頭の米シティコープの例を念頭に置いている。
2月までの株価下落局面では、金融危機が取りざたされ、公的資金投入論が浮上したが、その後の株価反転で投入論は沈静化した。ただ、小泉純一郎首相は不良債権問題の解決が道半ばであることから、16日の会合で、「引き続きどういう取り組みが必要かという議論を進めてほしい」と次の一手を指示していた。
【白戸秀和】