速水日銀総裁は、現時点で資本不足の銀行があるとは認識していないと述べた。
衆院財務金融委員会で長妻昭委員(民主)の質問に答えたもの。
速水総裁は、公的資金注入の必要性について、「今、公的資金注入の必要性があるかと聞かれれば、現時点で、資本不足に陥っている先(銀行)があるとは認識していない」と述べた。
そのうえで総裁は、「金融機関にとっては、不良債権問題の克服が、依然として最大かつ喫緊の課題であることは間違いない。海外でもそういう見方をしている」と指摘。主要行の経営体力面の備えは、不良債権処理や株価の下落などから、前年度に比べて低下しているほか、今後さらに、不良債権処理を進めていけば、その過程で自己資本が十分とはいえなくなる事態もあり得るとし、「中期的に見ると、日本の大銀行のコアキャピタルは決して十分ではないし、保有株の含み益で不良債権償却をすることも出来なくなっている。金融システム全体の安定について疑問が呈せられる事態に陥った場合には、タイミングを逸せず、早めに対応していくことが必要だと考える」と述べた。
また、総裁は、「単に公的資金注入だけでなく、一番大切なのは、金融機関が収益力向上、経営改革に取り組むことだ」と述べた。