【ワシントン=吉次弘志】
グリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)議長は23日、上院銀行委員会で、銀行破たん時の預金保険の保護範囲を現行の10万ドル(約1300万円)から引き上げる案について、「FRBはいかなる引き上げにも反対する」と述べた。銀行経営が預金保険頼みになるモラルハザード(倫理の喪失)を助長すると判断した。事前に配布された資料によると、議長は米景気や金融政策については言及していない。
銀行委は同日、主に預金保険法の改正案について審議した。同法案は米連邦預金保険公社(FDIC)が提案し、一部議員が提出した。預金保険に「物価スライド制」を導入し、保護範囲を徐々に拡大する内容を含んでいる。議長は「預金保険があるおかげで、金融機関は低金利での預金集めが可能になっている」と指摘し、「預金保険は実質的に政府の補助金だ」と言明。保護範囲の拡大は補助金の積み増しに等しく、「モラルハザードが助長され、納税者の負担が増えるだけだ」との見解を示した。