グリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)議長は22日講演し、経営破たんしたエンロンに触れながら、「信用や評判といったものは一夜にしてなくなってしまう」と述べ、実態以上に企業価値を膨らませる金融取引に警鐘を鳴らした。
議長は米経済がいつ回復するかばかりが注目され、「なぜ株式の資産価値の下落や設備投資の急激な落ち込みに米経済が耐えているかが軽視されている」との見方を示した。
議長は情報技術(IT)の発達で企業経営者が環境変化を的確に把握できるようになったことや、デリバティブ(金融派生)取引の進歩で市場がリスク回避を迅速にできるようになったことを指摘。これらが米景気の回復力の背景になっていると強調した。半面、デリバティブなどは計算上の企業価値を実態以上に高く評価するマイナス面があると指摘。典型例が昨年12月に破たんしたエンロンで、議長はエンロン型のかさ上げ効果が大きくなればなるほど、「予期できない需要の急落」などの不確実性が大きくなるとの認識を示した。