景気の底入れ感にもかかわらず、産業界が経営のスリム化・効率化に向けたリストラを一段と強めていることが、朝日新聞社の主要100社景気アンケート調査でわかった。主要企業の経営者の4割が今年、完全失業率が6%台に乗ると予測しており、厳しい雇用情勢が当分続きそうだ。
調査によると、約5割の企業が従業員の過剰感を持ち、なんらかの雇用調整をしている。採用の凍結・削減、賃金カットなどのほか、2割近くが希望退職を募っている。雇用調整の理由は「価格低下、販売減」(山本一元・旭化成社長)や「売り上げ、市況の低迷に伴う業績悪化」(鮫島章男・太平洋セメント社長)で、やはりデフレが背景だ。
さらに「市場ニーズへの対応」(高谷卓・富士通副社長)、「事業構造改革に伴う余裕人員」(石津進也・旭硝子社長)、「世界的競争にさらされている繊維部門の一部縮小」(岡田勲・東洋紡専務)など、産業構造転換への要請がリストラに拍車をかける。「競争本格化への対応」(南直哉・東京電力社長)と、地域独占を続けてきた業界も例外ではない。
今年度の従業員を「増やす」企業は6社だけで、「減らす」が48社にのぼる。02年度の失業率の見通しも、現状の「5%台」が53社、「悪化し6%台(超)」が42社と、厳しい。「有効求人倍率が落ちており、1年ずれて失業率が上がるだろう」(藤木保彦・オリックス社長)、「成熟経済としては常時このぐらい出るのでは」(岡田東洋紡専務)など、淡々と受け止めている経営者も少なくない。(22:21)