「米国の経常赤字が心配だ」。主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)に出席した欧州勢が終了後の記者会見で相次いで声を上げた。会議場では米国が先導する世界経済の回復を確認するのに終始したが、場外でその「落とし穴」に警鐘を鳴らした形だ。
米経常赤字は年4000億ドル(約52兆円)を超える。国際通貨基金(IMF)がG7直前に「世界経済の成長を阻害する4大リスク」の筆頭と指摘したが、米政府は「投資機会の強さを反映したもので、批判されるいわれはない」(テーラー財務次官)と反発。G7でも取り上げられなかった。
しかし、欧州勢の本音は「米国が思うように外資の流入が続く保証はない」(ソルベスEU委員)、「中長期的なリスクだが、今から改善に取り組むべきだ」(ファビウス仏財務相)と手厳しい。ユーロ圏は経常収支がほぼ均衡しているだけに、舌も滑らかだ。
欧州中銀の幹部は「経常収支の過度の不均衡はいつか為替の劇的な調整を迫る。それを懸念しているのだ」と解説した。(00:05)