■預金流出に対応 週明けから無期限
【サンパウロ19日時事】
アルゼンチン中央銀行は十九日、国内の銀行業務と外国為替取引を二十二日から無期限に停止すると発表した。政府による規制にもかかわらず預金引き出しが相次ぎ、銀行が深刻な資金不足に陥っていることに対応するためとみられるが、停止が長引くようなら国民の抗議行動が活発化し、社会不安がさらに高まる恐れもある。
また、中銀は十九日から、カナダのノバ・スコシア銀行のアルゼンチン子会社であるスコシア・キルメス銀行について、給与引き出しなどを除くほとんどの業務を三十日間停止した。このほかの銀行の多くも、この日は閉店を早め、店舗の周囲に警備員を配置して警戒を強めている。
アルゼンチンの最高裁判所は二月、政府が昨年十二月に発動した銀行預金の引き出し規制に違憲判決を下した。判決を受け、国内の裁判所では銀行預金の引き出しを求める訴訟が多数提起され、年初からの預金流出は残高総額の10%に達している。
こうした状況の中で、政府は現金の代わりに国債証書での預金引き出しを可能にする計画を立案。地元メディアによれば、関連法案が二十三日にも下院に提出される見込みで、銀行と外為の業務停止は同法が成立するまで続くとの見方が強まっている。
十九日の外国為替市場は、金融情勢の先行きに対する不安が急速に拡大したことを反映し、通貨ペソが一時一ドル=三・三ペソにまで下落。その後、やや戻したものの、前日終値比8・5%安の三・一五ペソで取引を終えた。
【ワシントン19日大島宇一郎】
先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は二十日の会議で、経済危機が悪化するアルゼンチン対策をめぐり意見交換する。
アルゼンチンは、国際通貨基金(IMF)からの緊急融資再開に向けて協議中。今回は、融資条件となっている経済改革案についてIMFとの早期合意に期待を表明する見通し。