日本国債格下げ S&P
02.4.17 朝日
「米有力格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は15日、日本の構造改革の遅
れを理由に、日本の長期国債格付けを「AA」から「AAマイナス」に1段階引き下げた。
また、今後の見通しも「ネガティブ(弱含み)」にし、一段の格下げに含みを残している。
S&Pの日本国債の格下げは、01年11月に続く。これまで先進7カ国の間では、イタリア
と並んで最低だったのが、単独で最低となった。
S&Pは「小泉内閣が民間部門の改革などを進めると見込んでいたが、内閣支持率の
低下、政権内部の混乱などを受け、期待を下げざるを得ない」と、格下げの理由を述べた。」
薄氷
・ペイオフ解禁
・日銀特融が「日本暴落」を招く 最悪のシナリオ
「ペイオフ解禁で金融機関の風評リスクが高まっている。緊急事態の措置として日銀
特融の実施が話題となっているが、その裏で日銀特融が「日本暴落」につながる最悪
のシナリオもささやかれはじめた。」
酒井 吉廣(アメリカン・エンタープライズ
公共政策研究所主任研究員)
エコノミスト 2002.4.23
「・・・風評リスクが顕現化した場合などにおける特融の実施が、総合デフレ対策ほかで言
及されている。この一連の議論は、一見、金融機関の資金繰り支援に焦点が当たって
いるようだが、実は、その背景には、昨年後半からささやかれはじめた「日本暴落」とい
う超悲観的な話が、今後現実のものとなる可能性が隠されているのである。・・・」
・浮上する日銀特融
「・・・ペイオフ解禁後の現在は、柳沢金融担当大臣の話を前提とすれば、建前として健全
とみなされる金融機関だけが営業をしていることになるため、公的資金の注入や破綻
処理の実施は通常では起こり得ない。このため、健全な金融機関の資金繰りを支援
するのは日銀特融ということになる。・・・」
・薄氷の上の「健全な銀行」
「・・・金融機関の資金繰りに問題が発生した場合、その経営内容が本当に悪ければペイオフ
の実施、あるいは、その破綻が金融システムの安定に著しく大きな問題を与えかねない
のであれば公的資金の注入となるのが通常であるが、経営の健全性に問題がないと判断
された金融機関の場合には、この2つの手段の代わりに、日銀特融が実行されるというこ
とになる。これが、総合デフレ対策を含め、昨今、日銀特融の話題が出はじめている理由
である。・・・」
・日本銀行法38条
「・・・現状のような収益性の低い状況の下では、表面上は健全とされる金融機関でも、繰り
延べ税金資産を差し引くなどの計算をすると、実際には自己資本比率が8%(あるいは
4%)を下回ることも考えられる。このような状況で日銀特融が実行されれば、特融の返
済が疑問視されかねない。・・・」
・日銀の信認にも疑問符
「・・・日銀は、97年に実施した山一証券への特融が返済されないままになっている。日銀と
しては、政府保証がついているとの見解を持っているが、これまでのところ返済の見通し
がほとんど立っておらず、政府保証の履行もないまま引当金を積んでいる。今回、金融機
関の資金繰り難で日銀特融が急増したとしても、現在の金融機関の収益力を前提とすれば、
日銀としては超長期の返済を前提とするしかなく、また「政府保証はつけない」と塩川正十郎
財務大臣が言っている以上、日銀の財務内容の毀損も進むことになろう。「金融機関の
不良債権問題」が「日銀の不良債権問題」にすりかわるのである。・・・」
・「日本暴落」の可能性
「・・・このような問題が発生する1つの背景には、日銀特融が無担保で行われるという事情
がある。無担保だから、貸し手としての日銀の信用審査能力と政府からの独立性が保た
れない場合、一気に財務の健全性を毀損する事態につながるのである。・・・」
「・・・こうした事態を予想する市場がどのように動くか。一国の中央銀行の資産が毀損する
ということは通貨価値の安定を損ねることにつながり、日本売りがはじまることになろう。
その時には大幅な円安が到来しかねず、同時に、95%以上を日本の投資家が保有し
ていることで、また超金融緩和政策の下で日銀による購入が続いてきたことで、海外勢
の売り圧力をしのいできた国債も、日銀の不良債権問題という新たな材料の登場によって
内外投資家の売りを浴び、暴落する可能性がある。
もちろん、その時には銀行株を含む不良資産で苦しむ企業の株も売られるという、「日本
暴落」の話が一気に現実味を帯びてくるのである。」
日銀、民間資産買い入れに抵抗
・ バランスシート毀損を警戒
・ 追加緩和求める政府・与党と溝
02.4.12 日経金融新聞
「「不良債権処理が進まないと金融緩和が効かないというなら、直接的な資金供給方法
を考えればいいじゃないか」
「日銀が様々な物を制約なく買う。例えば耐久消費財を全部買い取るとか。そこま
でやれとでもいうんですか」
米同時テロの影響で景気底割れ懸念が強まった昨年10月の自民党「金融と物価
に関するワーキングチーム」の会合。出席した党議員と日銀幹部の激しいやり取り
は廊下まで響き渡った。・・・」
「・・・自民党内の日銀への政策圧力は相変わらず。インフレ目標を策定して日銀
が株も買えるようにする日銀法の改正を画策する動きは衰えていない。・・・」
「・・・日銀は幹部を相次いでテレビ出演させるなど、防戦姿勢を一層強めている。
「資金供給の目的を離れ、社債や株式、あるいはケチャップでもいいが、それらの
価格を支えたり、上げたりするのが目的なら、政府がやればいい。日銀には譲れ
ない一線がある」。6日にテレビ出演した増渕稔理事は、日銀の考え方を明確に
語った。・・・」
「・・・国際通貨基金(IMF)も9日発表した報告書で、日本が景気後退から
脱するには、構造改革と追加緩和が必要と結論づけた。来週末の7カ国(G7)
財務相・中央銀行総裁会議に向け、海外から再び追加緩和を迫られる可能性も
消えていない。・・・」
米国が突く日本「裏社会」経済
-----不良債権「蟻地獄」で大統領に報告-----
2002年 4月号 選択
「・・・英文ペーパーを入手した。タイトルは「暴力団への対処の仕方-----組織犯罪に汚染
された市場でのビジネスリスクとコストを最小限にするテクニック」。日本に進出する米国企
業向けのガイダンスにあたり、米国務省のアドバイザーと国際組織犯罪の安全保障・経済
影響評価担当の米政府専門家が共同でまとめたものだ。・・・」
・「マル暴マニュアル」に浮かぶ陰画
「国際比較」
「・・・企業や銀行といった公の評判が大事な産業では、地元(日本)企業はパートナーや
顧客、競争者との紛争調停に組織犯罪を利用しようとするかもしれない。真っ先に挙
がる例は、日本のヤクザの不動産や商業紛争の調停への介入である。・・・」
「暴力団管理テクニック」
「・・・日本のシンジケートが暴力を行使したり、汚職高官を動かさないように気を
つけなければならない。・・・」
「組織暴力侵入防止のポイント」
「投資戦略」
「・・・前もって入念に細心の注意を払った調査が必要だ。債権者や顧客に流
れた手形を追跡すれば、暴力団やその支配企業にどの程度結びつきがあ
るかがわかる。・・・」
「・・・マニュアルの要約を紹介したのはほかでもない。本誌3月号でジョージ・
W・ブッシュ大統領が2月の訪日直前、日本の裏社会を分析したインテリジェン
スリポートを読んでいたと報じたからだ。マニュアルはその関連文書で、米政府
のスタッフが大統領に示そうとした「闇社会に汚染されたニッポン」像がくっきり
浮かぶ。ここに映った日本の陰画はとても先進国とは思えないが、それが米国
の対日認識の現状だという厳しい現実には逆らえない。・・・」
「・・・日本の組織暴力団に関する綿密な調査に基づき、ペーパーも不良債権処理
の困難さの分析にかなりの紙数を割いている。国務省、財務省、国防総省、連
邦捜査局(FBI)、中央情報局(CIA)など主要機関が競うように日本の裏社会を
調べ上げたのだ。山口組、稲川会、住吉連合、会津小鉄などの広域暴力団の
名が列挙され、政界、財界、官界との相関図、人脈にこと細かく触れている。・・・」
「・・・日ごろハト派でクリーンなイメージの有力派閥リーダーが実は裏社会とつながり
の深い秘書を通じて組織暴力団のトップと会ったり、暴力団の有力資金源である
芸能プロダクションから融資を受けている実態までも、虫眼鏡で覗くように追跡し
ているのだ。・・・」
「・・・官僚についても、バブル期に「勉強会」と称して裏社会とつなげた仕掛人から、
さまざまな接待攻勢を受けて身動きできなくなっているケースを紹介している。
裏社会に借りのある官僚や政治家は、その利害に反する政策を立案も実行も
できないと見ているのだ。・・・」
・先送りは米国の経済安保に脅威
「・・・このペーパーは、法治国家として世界でもっとも安全なはずの日本が不良
債権処理問題では無法社会そのものであることを示し、「問題はわかってい
るのに誰も手をつけようとしない。問題は政治にある」と指摘している。・・・」
「・・・だからこそ、朝日新聞がスクープした訪日前の小泉純一郎首相宛て大統
領親書では、銀行の不良債権が帳簿上の処理にとどまり、不動産や事業な
ど企業の不稼働資産が市場処理されていない状況に苛立ちを隠さなかった
のだし、「早く市場に売却されないことに強い懸念を持つ」と早期解決を促し
ているのだ。・・・」
「・・・ポール・ウォルフォウィッツ国防副長官ら政府要人が言うように、裏社会
に浸透され、自力で浄化できなくなった日本経済がいずれ迎える破綻が、
米国経済や国際金融市場を恐慌に巻きこみかねず、これは米国の経済
安全保障に直結すると真剣に考えているのだ。・・・」
「・・・実は対日インテリジェンスリポートは必要に応じて改定されてきた。初版
はクリントン前政権が作成し、2000年末の政権移行時にブッシュ・チーム
に手渡された。そこでは「日本は自力再建できない」と結論づけていた。・・・」
「・・・来日前にブッシュ大統領が手にしたのはその改訂版である。しかも大統領
の最側近、コンドリーザ・ライス国家安全保障問題担当補佐官が目を通した上で、
大統領に必読資料として勧めたものだ。一読すれば、ジャパン・プロブレムの元兇
は裏社会にあり、彼らこそ米国の安全保障を阻害するものだという結論が容易に
演繹できたからだろう。・・・」
・北朝鮮との「腐れ縁」排除に動く
「・・・重要なのは何が改訂されたかというより、何が新しく付け加わったかである。
それは日本の裏社会と北朝鮮の結びつきについての詳しい調査報告だった。・・・」
「・・・日本国内では恐らく全貌を掴む勇気のある機関はどこにも存在しないが、これ
こそ東アジア安全保障の要と見た米国は、インテリジェンス要員を動員してとこと
ん洗ったのである。・・・」
「・・・今後は与野党を問わず、北朝鮮との関係が疑われる政治家の排除を日本に
求めてくるだろう。朝鮮総連を通じて北朝鮮への資金パイプ役も果たしてきた朝
銀信組の救済に、公的資金を投じるよう働きかけた政治家は、少なくとも表舞台
から遠ざけられるに違いない。
東シナ海で沈んだ北朝鮮籍と見られる国籍不明船の引き揚げ調査を米国が全面
的に後押ししているのも、この不審船で北朝鮮が麻薬を日本の犯罪集団と取引し
ようとしていたと見ているからだ。偵察衛星で監視する米国はその接触の証拠を
握っているに違いない。
米国は本気だ。そうしたプレッシャーが陰に陽に永田町に作用し始めた。ムネオ
疑惑と野中広務元幹事長の弱体化、加藤紘一元幹事長の離党の3つを結ぶ交点に、
裏社会と「北朝鮮」への締めつけが浮かんでこないだろうか。」
「ダイエー 隠れ債務保証 2兆円」問題続報 ’02−4−15
「 ・・・500兆円の銀行資産総額のうち150兆円があると推計される不良債権問題は、
行き着くところまで行きます。以下は小声で言います。指摘するのが(多少は)リスクです。
【本筋が見えてきた】
不良債権の本筋・・・裏社会と企業や銀行の関係も次第に見えてきている。ダイエーの
不良債権問題の本質も2兆3000億円の帳簿上の借り入れ金に加え、2兆円と言われる
裏社会への簿外保証。ダイエーのみではない。3月決算の数値集計を行なう5月ころが、
また危険になる。
加えて世界からのマネーロンダリングに無防備だった日本の金融。ブッシュの悪の枢軸への
対決の方針で、急に日本の政局の焦点になった〔***〕コネクションの筋も、明白に見えて
きた。隠蔽したまま21世紀に向かうことはできない。・・・ 」
ビジネス知識源 2002年 4月15 Vol 96
の部分引用です。同号では、他にみずほグループのシステム問題、来るべき日本のインフレの
特徴点などの分析もあります。併せてご覧下さい。
本音言三
地価・インフレ情報発信館特報 ’02−4−13
ビジネス知識源(http://www.cool-knowledge.com)2002年4月8日発信(Vol.95)に
「D社は、残念ですが2兆円の隠れ債務保証でどうしようもありません」とあります。
これを本音言三が独断と偏見でヤブニラミ分析をすれば「ダイエーは2兆円の隠れ債務保証で
手の打ちようがない」ということでしょうか。
幸か不幸か、ダイエーの株価は4/8終値97円、4/12終値97円と今のところ
反応していません。
世の中が、今最も注目している人物の一人である吉田繁治氏の発信(4/8現在の読者数
26,133名)でもマーケットの反応は以外とニブイことが分かりました。
読者層が流通業界に偏っているのでしょうか?
それともこの情報はマーケットにとっては織り込み済みなのでしょうか?
はたまた、ガセネタなのでしょうか?
私にはラクダの背骨をヘシ折る「最後の一本のワラ」との予感がします。
来週の東京市場から目が離せません。
ダイエー担当の監査法人「トーマツ」の眼力と胆力が試されています。
追伸
小泉内閣が、'02年2月にダイエー破綻を先送りするという「国家としての最高意志決定」を
行った本当の理由がこのあたりにあったのかというニオイを感じます。
金融庁の目が節穴でないことを、小泉総理が腰抜けでないことをひたすら願うものです。
「量的緩和1年」を検証する
・無謀なインフレ目標は日本を窮地に追い込む
「 日銀の量的緩和策は金融機関の資金繰り緩和に寄与したが、短期金融市場の機能不
全を招いた。本来の趣旨である景気刺激にも無力だった。」
加藤 出(東短リサーチ・チーフエコノミスト)
金融ビジネス 2002年5月号
「日銀による量的緩和策導入から1年が経過した。日銀当座預金残高はそれ以前の4兆円
程度から15兆円に膨張し、国債買い切りオペは月間4000億円ペースから1兆円ペースに
拡大している。
この日銀による圧倒的な資金供給によって金融市場におけるリスクプレミアムは圧縮された。
つまり、市場金利の上昇を全体的に押さえ込むことには確かに成功している(それが先送り政
策に一役買った面も否定できない)。一方でデフレ対策としてはいまだ無力であり、日銀当座
預金の拡大と消費者物価の間に関連性はみえてこない。むしろ、短期金融市場の機能低下
が激しくなっている。・・・」
・量的緩和策が招いた
短期金融市場の機能不全
「・・・本来、量的緩和策は、短期市場を余剰資金でジャブジャブにすることで金融機関に資産
配分を見直させ、貸出、株式、外貨、土地などのリスク資産に積極的に投資することを促すも
のだ(「ポートフォリオ・リバランス効果」)。しかし、実際には、日銀が大量に資金供給をすれ
ばするほど、民間同士の資金の融通が細っている。・・・」
「・・・一方、量的緩和策によって今年2月のマネタリーベースの伸び率は28%にも達している。
これは74年の狂乱物価時に匹敵するレベルだが、しかし、現在、金融政策の面からデフレ期
待に働きかけることはできていない。
にもかかわらず、日銀に追加緩和策を求める声は続き、さらなる国債買い切りオペの増額
が実施されると予想される。インフレ目標の導入も可能性が高まっている。・・・」
・さらなる日銀の
信任低下は危険
「・・・筆者はマイルドなインフレを実現できるツールがあるならばインフレ目標に賛成する。
しかし、現時点で金融政策だけでインフレを発生させるのであれば、日銀の信任や日本国
の信任をさらに低下させる必要があるだろう。具体的には格付けの低いCPや社債、株式、
土地などをオペ対象とすることが必要になる。しかし、そのような非常手段によるインフレ
期待の醸成とマイルドなインフレ率の実現は本質的に相入れないと考えられる。・・・」
「・・・第1に、現在、日銀の総資産は量的緩和策によって急拡大しており、FRB(米国
連邦準備制度理事会)のそれを約50%も上回っている。・・・」
「・・・第2に日銀によるリスク資産の購入は、国の“隠れ借金”にすぎない。本来ならば、
国会の議決を経て国債を増発して財源を調達すべきものを、正規の手続きを経ずに
無限のシニョレッジ(通貨発行権)を持つ中央銀行にやらせるだけのことだ。特にユーロ
加盟国のように財政規律を厳しく実行している国の投資家からみれば怪しくみえること
だろう。・・・」
「・・・無謀なインフレターゲットは日本経済をさらに窮地に追いやることを認識すべきだ。」