【サンパウロ=窪田淳】アルゼンチンで金融不安が再び深刻化している。大手銀行のスコシアバンク・キルメスなどで預金の流出が起こっているため、中央銀行は19日、月間の引き出し制限額を超えた銀行預金を国債で払い戻す法が成立するまでの間、銀行を休業することを決めた。法案がいつ成立するかは不明で、国民の不満が再び高まる懸念がある。
政府は昨年12月、銀行預金の流出を防ぐため、ドル預金の強制的な定期化、通貨ペソでの引き出し額を月間1500ペソ(約6万円)に制限することなどを盛り込んだ緊急措置を導入した。だが最高裁は2月、緊急措置は違法だと判断。この判決を根拠に、銀行に対し預金者への払い戻しを命じる判決が相次いでいる。
この結果、カナダ4位行のノバ・スコシア銀行傘下でアルゼンチン国内に約100の支店網を持つスコシアバンクは、4月だけで5000万ペソ(約20億円)の預金が流出した。親銀行のノバ・スコシアは、中銀に改善措置を求めたが決裂した。