「企業のIT投資は2002年春にV字回復を遂げる」――。米コンピューター業界では昨年からこんな期待感が広がっていた。米国ではパソコンの買い替えサイクルが約3年とされ、今春が大量更新時期にあたるためだ。だが足元を見ると需要が急激に盛り上がる気配は見えない。
米証券大手メリルリンチが、欧米有力企業100社の最高情報責任者(CIO)を対象に実施したIT投資調査では、多くが「投資は緩やかに増やしていく」と答えた。過去の積極的な投資で設備過剰感があるほか、業績の先行きに懸念が残ることもあり、慎重姿勢を崩していない。
企業需要の停滞を反映して、コンピューター各社の価格競争も激化。IT不況下の「勝ち組」とされたIBMでもパソコンなどハード部門の売り上げが大きく落ち込み、1-3月期は大幅な減収減益となった。投資抑制の波は、IT投資の「聖域」とされた業務用ソフトにも波及。マイクロソフトは法人向けが伸び悩み、18日に4-6月期の1株利益がアナリストの予測を下回ると発表した。