速水日銀総裁は、16日の経済財政諮問会議で、金融機関は、特別検査の対象企業以外の企業についても財務状況をチェックし、不良化した債権を適切かつ迅速に処理し資産内容を改善することが重要だと語った。その際、特に、銀行貸出に占めるウエートが大きい非製造業の中堅中小企業の体力が弱っている点に注意する必要がある、と警鐘を鳴らしている。
内閣府が発表した諮問会議の議事要旨で明らかになった。
速水総裁は、企業の実質自己資本比率の図表を使って、非製造業・中堅中小企業の比率が、1980年から85年を100とすると5割程度も低下しており、「この点が、銀行、日本経済にとっても大きな重荷である」と述べた。
米大手格付け会社スタンダード・アンド・プア−ズ(S&P)による国債格下げに関しては、「国債の格付けが下がるときには銀行の格付けも下がっている」とし、国はもちろん、民間も内外からの信認回復を図るため、全力を傾注する必要があると述べた。
さらに、速水総裁は、「今後さらに、不良債権処理を進めていけば、その過程で自己資本が十分とはいえなくなる事態もありうる。こうした状況下で、金融システム全体の安定について、疑問が呈せられる事態に陥った場合には、公的資本注入を含め、タイミングを逸せず早めに対応していくことが必要となる」との見解をあらためて示した。
また、「優良企業に対する融資業務など民間と競合する分野について、中長期的な観点から見直しを行っていくことが必要」と述べ、金融機関の収益改善の観点から、公的金融見直しを提言した。