柳沢伯夫金融担当相は19日の閣議後会見で、口座振り替えの遅れなど深刻なシステム障害を起こしたみずほフィナンシャルグループに対し、金融庁による異例の緊急検査を実施する意向を表明した。5月の大型連休後、速やかに立ち入り検査を始める。システム障害に伴い、緊急検査を実施するのは過去に例がない。
同庁は金融機関のコンピューターシステムに精通した検査官を集中投入。(1)システム障害の原因(2)トラブル発生に備えた危機管理態勢(3)事前準備と障害発生後の対応(4)再発防止策−などを洗い直し、一連のシステム障害の実態を解明する。日銀による考査との連携も検討する。
みずほグループをはじめ三井住友銀行などもコンピューターシステムの全面統合を予定していることから、同庁は今回の検査を通じ、大手銀行の再編に伴うシステム統合のリスク抑制を目指す。
柳沢金融相は会見で「物理的な混乱もあり、現場できちんと説明を受けることが必要だ」と述べた。検査期間は未定だが、1カ月程度かけて立ち入り検査とその後の分析作業にめどをつける考えとみられる。同庁は検査結果に基づき、みずほグループへの行政処分を決める。
同庁は障害の原因などを究明するため、みずほ側に銀行法に基づく報告を求めているが、行内の混乱が続いており、中間的な状況報告にとどまっている。5月1日に追加報告が提出される予定だが、どこまで突っ込んだ内容になるか不透明だ。
現金自動預払機(ATM)が復旧し、口座振り替えの引き落とし遅れも18日には一応解消したことから、金融庁は大型連休を挟んだ現金引き出しなどが落ち着くのを見極めた上で、検査を始めることにした。