塩川財務相は、為替相場について、1円や2円の動きで、いちいちコメントできない、と述べた。
閣議後の会見で述べたもの。
為替相場が、一時、1ドル=130円割れに下落したことについて、塩川財務相は、「為替の1円や2円のことで、いちいちコメントできない。これは、市場が決めることだ。市場に順応に対応していくことだし、日本の実態に合わせたものが相場に出てくると思う」と述べた。
格付け会社の評価基準に異論を唱えていた財務相は、「格付け会社は、商売とは言え、勝手なことを書き過ぎている。私としての、意見書を出そうと思っている」と述べた。
財務相は、世界最大の債権国であることや4000億ドルを超える外貨準備高などを挙げ、「国債の格付けに評価されないのか問いたい。円の流通の責任を考えた場合、あまり簡単に、感情的に格付けを決められたら困る。数値を持って、ある程度説明して欲しい。財務、経済の責任者として、はっきりと意思表示をして、聞いてみたいと思う」と述べた。
週末の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)における日本の主張については、3つのことを表明すると、小泉首相に伝えたという。財務相は、「最近、IMFや世界のエコノミストの日本に対する発言で、意外な表現が使われている。G7の席で反発したいと思う」とした。
IMFが18日に発表した世界経済見通しに触れ、「日本の対応は遅れてきたことは事実だが、ファンダメンタルズは大きく変化していない。持続的な回復の兆候も、そう希望なきにもあらずだ。日本経済は底打ちが言われ、これから反発してくる。世界経済見通しにある“深刻な状態”との見方は、将来、希望を持って見て欲しいと反発しておきたい」と述べた。
また、不良債権処理に関しては、「銀行は特別検査を重く受け止め、銀行自身が、会社整理の方向などを明示するべきだ。銀行が不良企業の整理にどのように関与してきたかを絶えず観察する体制を取ることを、合わせてやっている。不良資産の解消は、順次正常化するということをG7で言っておきたい」と語った。
また、IMFの世界経済見通しでは、日本に補正予算を求めているが、財務相は、「2001年度第1次、第2次補正予算が、やっと支払いベースに乗ってきた。2002年度予算は、早急に支払いベースに乗せなければならない。6月の税制改正を通じた新しい産業展望を政府が出すといっており、その方向性をみたうえで、日本の経済活性化がいかに進むかを判断してもらいたい」と述べた。そのうえで、「直ちに補正予算を組めというのは、財政の緊縮化を図り、国債発行を抑えろという世論に矛盾する」と反論した。さらに、財務相は、「内政干渉だ」と不快感を示した。
郵政公社の納付金問題については、「納付することは法律に明記する。ただ、細かなことは政令で決めることになった」と述べた。