傘下の2銀行で発生したシステム障害の影響で、みずほホールディングス<8305>が揺れ続けている。同社は18日、口座振替のトラブルで遅れに遅れていた引き落とし処理がすべて完了したと発表したが、まだ余波は続きそうだ。今後、煩雑さを極めるであろう取引先企業からの「費用請求」の山と向き合わねばならないためだ。新たな“憂鬱”は危うい火種をも含んでいるため、同社の苦悩はまだまだ続く。
●始まった費用請求
システム障害の沈静化とともに、みずほの顧客の間から追加的にかかった文書費用を請求する動きが出始めている。セゾンカードを運営するクレディセゾン<8253>が10日、引き落とし遅延が発生した会員向け文書の郵送費をみずほに請求する方針を明らかにしたほか、東京電力<9501>や東京ガス<9531>も追随する構え。カード会社や公共料金にかかわる企業を中心にこうした動きが加速するのは間違いない。
みずほ側でも、自らのミスが招いた重大な事態だけに、こうした要求はほぼ丸呑みせざるを得ない状況で、持ち株会社のみずほホールディングスの精鋭部隊を中心に対応策の詰めを始めたもようだ。
●闇の勢力、暗躍の兆し?
みずほグループは、その取引先企業や抱える口座数は間違いなく世界一であり、費用請求も数がかさんでくればバカにならない。これが同社の経営基盤を揺るがすような事態にはつながる恐れは極めて少ないが、同社はある一点に神経を尖らせている。大企業の動きに紛れて、いわゆる闇の勢力が暗躍する気配が出ているためだ。
既に個別の営業店ベースでは、「因縁としかとれないクレームが出始めている」(関係筋)といい、これが加速度的に全国の店舗網に波及することを警戒している。
●困難極める舵取り
今後、みずほ銀やみずほコーポレート銀の本店管轄の大企業だけでなく、営業店ベースの中堅企業もみずほに追加的な費用を請求してくるのが確実視される。ただその中には、“企業舎弟”も含まれる可能性が高い。膨大な数の追加費用支払い手続きに追われる中で、闇の勢力をも見分けなければならないのは、「至難のわざ」(同)と言える。
健全企業への追加費用支払いが遅れれば、損害賠償請求の訴訟も起こりかねない。逆に、全ての要求を丸呑みし、闇の勢力にまで資金が流れたことが判明すれば、「銀行としての信用は地に堕ちる」(別の関係筋)。システム障害が収束しても、みずほは困難を極める舵取りを強いられることになる。
(相場 英雄)
・「深層・真相」〜日銀当座預金残高が伝える“みずほ”と金融危機
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200204/10/20020410152513_09.shtml
・みずほ銀トラブルに影の“主役”〜最強IT3社の大失態
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200204/09/20020409142005_23.shtml