【ニューヨーク=豊福浩】
米国の大手銀行が不良債権の最終処理を増やしている。ハイテクバブル崩壊や経済危機にあるアルゼンチン向け債権の焦げ付きが響き、シティグループやJPモルガン・チェースなど8行の1-3月期の処理額は前年同期より3割増えた。米景気は回復基調にあるが貸出資産の劣化が続いており、各行は融資姿勢を厳格化させている。
各行の1-3月期決算によると、バランスシート(貸借対照表)から不良債権を切り離す最終処理は合計で約60億ドル(約7800億円)に上った。経営不振企業の整理・淘汰(とうた)が高水準で続いていることが背景にある。JPモルガン・チェースは通信関連の焦げ付きが大きく、最終処理は前年同期比56.1%増えた。不良債権は今後も収益を圧迫する見通しだ。3月末の不良債権残高は合計で261億ドルと前年同月末から21%増加。将来の損失に備えた貸倒引当金も合計で前年同期より34%多い62億ドル積み増した。シティはアルゼンチン向けだけで5億ドル弱を新たに追加引き当てした。