【ワシントン竹川正記】米連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン議長は17日、上下両院合同経済委員会で証言し、米景気は在庫投資に支えられかなりのペースで回復してきているとしつつ、「最終需要の先行きは依然不透明で、動向を注視する必要がある」と述べ、利上げ時期の見極めのポイントになる景気回復の強さを判断するには時期尚早との考えを示した。米同時多発テロを受けた行き過ぎた在庫削減の反動による景気回復効果を指摘し、米経済への過度の楽観論を戒めたもの。FRBは5月7日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げを見送る見通しだ。
同議長は景気を支えてきた個人消費について、株価下落による「逆資産効果」にも言及、今後の株価動向が個人消費を抑制させる可能性を指摘した。また、最近の中東情勢悪化に伴う原油価格の高騰には「短期的には影響は限定的」としつつも、長引けば「(家計から)購買力を奪う」と懸念を示した。
景気の本格回復のカギを握る企業の設備投資動向には「業績が回復の兆しのある通信業界にもまだ設備投資拡大の動きは見えない」と指摘した。