【ワシントン竹川正記】
国家の破産に対して、企業の破産法制のように処理を秩序立てて行う新ルール作りをめぐる議論が高まっており、19日から米ワシントンで開かれる先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)や国際通貨基金(IMF)の国際通貨委員会などの場で本格化する。ただ、関係者間の意見の隔たりは大きく、どこまで議論を詰められるか、予断を許さない。
クルーガーIMF筆頭副専務理事は今月初め、巨額のデフォルト(債務不履行)を起こしたアルゼンチンのように、資金繰りに行き詰った国が出た場合、債務削減の調整にあたる独立の調停機関を新設する構想を打ち上げた。IMFが昨年11月に提案した「国家破産処理制度」案はIMFが破産認定するなど大きな権限を持つため、欧米有力銀行が「不利な条件を押し付けられてはたまらない」と反発。クルーガー案は調停役を新機関に委ねるのがポイントだ。
だが、銀行側の警戒感は強く、米財務省にも、公的機関の存在を前面に出した市場原理の働かない枠組みでは「結局機能しない」との見方が強い。国際金融担当のテーラー財務次官は、債務国が国債発行時に銀行など債権者側と、債務削減・繰り延べ条件を事前に決めておく民間主体の方式を提唱。銀行側はテーラー案を評価するが、借り手の途上国側は国債発行手続きが煩雑になるうえ、融資条件を悪化しかねないことを懸念している。