年金資金運用基金が行っている年金住宅融資で巨額の回収不能金(不良債権)が出ている問題で、厚生労働省は17日、21の道府県社会保険事務局に対し、基金から利用者への融資を仲介している公益法人(都道府県の年金福祉協会など)のうち、不良債権を抱える21法人の経理指導を徹底するよう通知した。
年金住宅融資は、年金加入者に対し、基金が公益法人を通じて融資する制度。不況の長期化などの影響で利用者が返済できず、21法人が昨年9月末で972億円の不良債権を抱えている。
厚労省の通知は、公益法人がこれまでの決算で正常債権と不良債権を同一科目に混在したまま計上していたことを指摘、「公益法人会計基準に照らし、不良債権について適切な額の貸し倒れ引当金を計上する必要がある」と明記している。
各法人が2001年度決算で不良債権額に見合った貸し倒れ引当金を正確に計上させることで、“粉飾決算”を防ぎ、不良債権処理を加速させる狙いがある。
不良債権問題では、同省と基金は、基金と不良債権の返済保証契約を結んでいる約300の金融機関と処理策を検討。今年3月に、〈1〉金融機関が基金の持つ正常債権の一部(1兆円)を買い取り、公益法人から直接回収〈2〉金融機関が不良債権額相当を拠出し、公益法人を経由して基金に返済――との案で都銀と大筋で合意した。残る地銀や信金などともこの処理策で最終調整を進めている。
(4月17日14:31)